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「またボイラーを使った」と怒る母 もったいない世代は真冬でも給湯器を使うことはNGなのだ

仕事を終えて家に帰り、母の部屋へ顔を出すと
「おかえり」と、母の穏やかな口調。
認知症が進行し、30分前の出来事も忘れてしまう母だけど、以前よりもずいぶん穏やかになりました。

「今日はヘルパーさん来てた?」と問う私に、母は突然しかめっ面。
やばい。また私は何か地雷を踏んでしまったのだろうか。
母の怒りの原因は、ヘルパーさんがボイラーのスイッチを入れ、お湯を使ったということに対してでした。

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押さずのスイッチ

実家では、灯油を燃料とする給湯器があります。
母が「ボイラー」と呼ぶ給湯器のスイッチは、台所や洗面所、お風呂場でお湯を出す時に使うものです。

しかしこの3年、母がボイラーのスイッチを入れたことはありません。
なぜなら母は、ストーブの上で沸いたヤカンのお湯を魔法瓶に移し、それで食器を洗ったり、自分の顔を洗ったりしているからです。

唯一ボイラーのスイッチを入れるのは、お風呂に入る時。
しかし、父が亡くなってから、母は私の家で入浴するようになったので、この3年実家のボイラーのスイッチを入れることは、ほとんどなくなりました。

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ボイラーのお湯を使うと怒る母

「ヘルパーがボイラーのスイッチを入れてお湯を使った」
今日も母は、そのことで怒っていました。

30分前の出来事は忘れてしまう母なのに、午前中に来たヘルパーさんがボイラーのスイッチを入れたことについて怒っているのですから、認知症の記憶というのはいまだに不可思議でしかたがありません。

この真冬に、キッチンや洗面所、トイレなどの床拭きをしてくれるヘルパーさんが、お湯を使って何が悪いのだ?
と、私の感覚からすればそう言いたくなります。

しかし、母の言い分はこうなのです。
「お湯はいくらでもストーブの上に沸いている!それを使えばいいだけだ」

勝手口の土間に設置された給湯用の大きなタンクの水を、掃除のためにボイラーで沸かすということが母にとっては究極の「もったいない」ことだそうで。
そして、お湯は魔法瓶にもヤカンにもたくさんあるのだから、それを使うのが当然だ!という母の言い分です。

ついついヘルパーさんをかばってドツボにハマる

ヘルパーさんは、床をきれいに拭くために、何度もお湯をかえているんだよ。
ヤカンのお湯だけじゃ足りないでしょう?
ヤカンのお湯は、お母さんがお茶を飲むためのものだと思って使わないんだよ。
だからボイラーのお湯を使ったっていいじゃない。
水で掃除しろっていうのは、あまりにも気の毒だよ。

あれこれ言葉を変えて、私はヘルパーさんの気持ちを代弁するのですが、毎度ドツボにハマる私。

掃除のためにボイラーを点けるとは何事だ!
ヤカンにお湯があるというのに、それを使わないとは何事だ!

挙句の果てに

ゴム手袋して水で掃除すればいいんだ!

なんて言葉を母の口から聞いた時には、さすがに私も開いた口がふさがらない。
ヘルパーさんの気持ちを母にわかってもらおうとあれこれ言ったことで、逆に自分の気分を害することになるのだから、このドツボのハマり方は、ハンパなく深い。
そして、深い溝でもがきながら、ようやくここで姉の言葉を思い出すのです。

「認知症の人には正論は通じない」ということを。

母が怒ることなくヘルパーさんにお湯を使ってもらう策

昨年の冬も、まったく同じようなことで私は頭を抱えていました。
その時、ケアマネさんにお願いしたことがあります。

「ボイラーのお湯はどんどん使ってかまいません。
ただし、ヘルパーさんが帰る時には必ずボイラーのスイッチを消していってください。」と。

ヘルパーさんがキッチンで掃除をしている最中、母はリビングでテレビを見ているだけなので、ボイラーのスイッチを入れたかどうかなんてわからないのです。

つまり、母が怒っている時は、ヘルパーさんがボイラーのスイッチを消すのを忘れて帰ってしまった時なのです。

昭和一桁世代の母は、むやみに点灯しているランプも非常に気になる標的です。
数年前、足の悪い母が少しでも楽になるようにと、寝室のベッドの下の掃除にルンバを買ってプレゼントしたことがあります。

ルンバは使わない時は充電しておかなければ、バッテリーが消耗しやすくなるのですが、母は充電中のルンバの点灯ランプが「もったいない」と言って、充電器のコンセントを抜いてしまいました。
何度説明しても、理解してくれませんでした。

思えば、その頃から母の認知症は始まっていたのかもしれません。

母が怒ることがないように、私もドツボにハマって気分を害することがないように、そしてヘルパーさんも気持ちよくお掃除ができますように。

明日、ケアマネさんにボイラーのスイッチの件を連絡しておきます。

 

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