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劇団四季オペラ座の怪人仙台公演感想 ファントムがどれほど病んでいるか考えた

劇団四季ノートルダムの鐘のフロローの壊れっぷりが大好きです。
しかし、ノートルダムの鐘は名古屋へ行っちゃったし、しばらくはノートルダム・ロスだわぁ・・・と思っていたところ、ゾクゾクする情報を入手しました。

ノートルダムの鐘のフロロー、レ・ミゼラブルのジャベール、そしてオペラ座の怪人のファントムは「三大ヤンデレパリジャン」と呼ばれているそう。
おもしろすぎる!
では、オペラ座の怪人のファントムの壊れっぷりをぜひとも楽しまなくては!

というわけで、今回の劇団四季オペラ座の怪人の仙台公演は、いつもとは違った見方をしてきました。

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オペラ座の怪人仙台公演

オペラ座の怪人は、テレビで放送されたミュージカル映画をサラっと流してみたことがあります。
おおまかなストーリーは知っていますが、詳細はよくわかっていません。

劇団四季のオペラ座の怪人仙台公演が決まった時、きちんと映画を観ようとも思ったのですがやめました。
余計な情報は無しに、純粋に劇団四季オペラ座の怪人を楽しもうと思ったからです。

 

そしてやってきました、東京エレクトロンホール宮城。
3年前に美女と野獣仙台公演を観て以来です。
またここにやってこられてうれしい。

座席は8列めの、舞台に向かって左寄り座席。
ちょうど目線が舞台と同じ高さくらいになります。

舞台の幕は閉まっておらず、舞台上には布をかぶせた大きな塊がいくつか置いてありました。
暗転の後に、舞台上にはオークション会場が現れます。
そして、ミュージカルオペラ座の怪人が始まりました。

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ファントムのヤンデレぶり

オペラ座の怪人のあらすじとか、観劇の感想などなどは置いておいて、今回は三大ヤンデレパリジャンの一人であるファントムの病みっぷりについて、思ったことを述べていきます。

その前に、ヤンデレとは。
精神的に病んでいながら、特定の誰かに愛情を示す様のこと。
または、相手への好意が強すぎて、精神的に病んでいく様。
「病む」と「デレ」の合成語であり、アニメやゲームのキャラクターから生まれた言葉のようです。

フロローとジャベール、そしてファントムが、三大ヤンデレパリジャンと称されているのを知った時、これはもうレ・ミゼラブルもオペラ座の怪人も観るしかないでしょ!と興奮しました。
そして、タイミングよくオペラ座の怪人を観る機会が巡ってきたのです。

以下、ファントムの病んでいるなぁと思ったシーンについて。

■住まいはオペラ座の地下

数年前に見世物小屋から逃げ出し、オペラ座の地下に住み着いたらしい。
先天性の奇形のため恐ろしいほど醜い顔をしている。
よって、外部との関りを断ち、外出することなく地下で暮らしている。

醜い顔のコンプレックスと、見世物小屋での経験がトラウマとなり、今で言うひきこもりになってしまったのでしょう。

■職業は学者、音楽家、建築家、魔術師

学者であり天才的な音楽の才能があるため、オペラ座の歌劇をプロデュースしている。
役者たちに「歌が下手だ」「もっと痩せろ」と注文をつける。
クリスティーヌを主役にすることが望み。
オペラ座の支配人に対しても経営方針を指示し、2万フランの給料をもらっている。(19世紀当時の2万フランは、現在の日本円にして460万円くらい)

地下水路には、ファントム自身が設計した蝋燭通路や銅像が芸術的に装飾されている。
ボートも自作らしい。
建築家としての腕も素晴らしい。
マダム・ジリーが「ファントムは数年前に見世物小屋にいた」と話していることから、わすか数年で地下に巨大迷宮の隠れ家を作ったことになります。

さらに魔術師としても才能を発揮します。
歌声でクリスティーヌを催眠療法にかけ、自分の地下の砦に連れ込み歌の特訓をする。
また、オペラ座のプリマドンナとして君臨していたカルロッタの声を蛙の声に変え、失脚させる。
神出鬼没で、人々を恐怖に陥れるのも、魔術のなせる業?

■作曲活動

足元で加圧した空気を鍵盤に送り、音をだす仕組みのパイプオルガンもファントム自作か?
このパイプオルガンを弾き夜な夜な作曲活動を行っている。
クリスティーヌの前に現れる時は、タキシードを着て、髪型もオールバックに決め、紳士的な雰囲気をかもし出しているが、作曲する時はペルシャ衣装に着替える。
ベレー帽のようなものも被っている。

ファントムは「昔ペルシャから来た」と、誰かが言っていたような気がするので(うろ覚え)、作曲などの創作活動は自分の原点に戻るという意味を込めているのか?

それにしても、ペルシャ衣装を着て陶酔した表情で作曲しているファントムに爆笑。
あれ?笑っているのは私だけ?
みんな、なんでこんな滑稽なファントムに笑わないの?

ペルシャ衣装を着たファントムが、怪人ではなく人間なんだ!と思った瞬間でした。

■クリスティーヌが大好きすぎて

クリスティーヌの歌の指導者であり、夜な夜な鏡の中から歌の特訓をしているが、ついにある夜クリスティーヌを自分の地下の砦に連れ出すことに成功する。
クリスティーヌは、ファントムのことを亡き父の姿に重ね「音楽の天使」と崇拝していて、ファントムの歌声に酔いしれる。

しかし、自分にそっくりな等身大の花嫁衣裳を着たマネキン人形を見て、気絶する。

もうね、コレ、アウトなやつですよ。
しかもクリスティーヌにそっくりなマネキンは、どこから調達したんですか?
これも自作ですか?
音楽の天使も、これじゃあ超キモオタ怪人ですよ。

■愛のためなら人をも殺す

ファントムは、自分のジャマをする者を次々に殺していく。
人と関わって生きてこなかったファントムは、殺すという選択肢しかなかったんでしょうね。
まさに狂気の沙汰です。
クリスティーヌを自分のものにしたいがためなのですが、常にオペラ座の中で彼女を監視し、近くに潜んでいる姿はストーカーです。
病んでしまうと、善悪の判断ができなくなるというけれど、母親に捨てられ、見世物小屋で育ったファントムが、歪んだ愛情表現しかできなくなるのは、致し方ないのかな・・・。

■演出しそびれたファントム

ファントムは、人々に恐怖を与えるために、舞台の幕を上手に使い影の姿で登場したり、エコーをきかせた声を響かせたりと、演出家としての才能もすごい。
しかし、ですよ。
クリスティーヌとラウルがキスをした場面で、2人がその場からいなくなると、そこにあったペガサス像の後ろからファントムが姿を現すんです。
きっとファントムは、どうやって恐怖に陥れる登場の仕方をしようかと、ペガサス像の後ろで考えていたと思うんですよね。
そうしたら、クリスティーヌとラウルがキスをしちゃって、出るに出られなくなったのでは?

なーんてことを想像したら、隠れ潜んでいたファントムがおかしくて、おかしくて。
隣で観ていた友人は、ファントムの登場に「はっ!」と驚いていたけれど、私はそんなファントムに人間臭さを感じて、哀愁すら漂ってきましたもんね。

演出家としては失敗したシーンだったと思います。

さらに、墓場のシーンでは、逃げだそうとするクリスティーヌとラウルに向かって、これまた自作したと思われる火縄銃?のようなものを撃つのですが、炎がヘロヘロ、ヘロヘロとしか飛ばず、ファントムいと哀れ。
なに、このシーン。
笑いどころですか?
でも、誰も笑っていない・・・。

ああ、笑いをこらえるのに必死だわ、私。

愛すべきファントム

ラストでは、ファントムの哀れな姿が露出されることになり、クリスティーヌへの叶わぬ愛に嘆き悲しむファントムを、いっそう引きたてることになります。

佐野ファントムの美声が、心にしみわたりました。
佐野さん、大好きです。
「美女と野獣」の佐野ビーストも大好きでしたが、佐野ファントムも大好き。

佐野さんが演じていたせいか、ファントムはちっとも怪人ではなく、人間味あふれる愛すべきファントムでありました。

オペラ座の怪人は、ストーリーが明快ではなく、観る側の想像力が求められます。
登場人物の言動が、なぜそうなったのか、そこに至るまで何があったのか想像することで、解釈の仕方は人によってちがってくるのかもしれません。

今回、初めて観た劇団四季オペラ座の怪人も、1回観ただけではわからない箇所がてんこ盛りです。
あそこの場面って、結局どうだったの?アレってどういうこと?などなど、一緒に観た友人たちとあーだこーだと言い合っています。

だから劇団四季はやめられないっ!
愛すべきファントムにまた会いたくて、ウズウズしています。

 

コメント

  1. るり玉 より:

    そらはなさん、こんにちは。

    行ったのね、観たのね!
    これはね、回数を重ねるほど中毒になるのよ。。。
    あのファントムのステッキみたいのから出るヘロヘロの炎は、
    突っ込みどころよね(笑)
    引きで見たり、2階席から見てもまた違った雰囲気を味わえます。
    仙台ではシャンデリアは真下に落ちた?
    こちら広島は真下に落ちる装置なの。
    ところが、京都劇場は客席に向かって落ちるのよ~!
    臨場感が全然違う~。
    京都といえば!
    来年ノートルダムの京都公演があるので、
    今度こそ絶対に行きます!
    リベンジするぞーぉ。

    • そらはな より:

      るり玉さんへ♪
      行ったよぉー!観たよぉー!
      仙台ではシャンデリアは真下に落ちました。
      京都は客席に迫ってくるんだってね!観たいなぁ。
      何気に「支配人ズ」もお気に入りです。
      あとカルロッタも超上手い!
      佐野ファントムが人間臭くて、殺人者なんだけど憎めなくて、なんだかいい味だしてましたね。
      ノートルダム、また京都に行くんですねー!
      もー!京都、2回も行っていいなー!
      るり玉さんなら、ノートルダムも絶対感動すると思うから、ぜひぜひ行ってね!

      • るり玉 より:

        ファントムはこのところずーっと佐野さんが一人でやってらっしゃるので、
        ちょっと喉が心配。。。(素人考えだけど)
        東吾ラウルはまだ若造って感じで、それはそれで初々しいんだけど、
        鈴木ラウルは伯爵って感じで安定してる!
        苫クリスティーヌや河村カーラは抜群の安定感!
        支配人二人と、あとオークショナー(指揮者と二役)の深見さんが味があって大好き!
        演出とかセットとか、語り出したら止まらなくなるけど、
        オペラ座談義ができるのは楽しい~~。
        そらはなさんが観るまでは、とずっと我慢してたからね~(笑)
        京都で観るなら、次はシャンデリアが落ちてくる4列か5列のセンターを取ろう!と娘と話してるの。
        まぁ、争奪戦でしょうけれどね。
        ノートルダム、娘は名古屋で観てきたの。
        めちゃくちゃ感動して帰ってきたよ。
        演目の好みが似てるので二人で京都に行く気満々!
        シェイクスピアやパリのアメリカ人もきっと好きと思うけど行けない~。
        行きたい~。

        今度の日曜日は、ソンダンです。
        なんかやっと広島の番がやってきた、って感じで待ち遠しかった~。
        行ってきます♪

        • そらはな より:

          るり玉さんへ♪
          鈴木ラウル、イケメンでしたね~。
          彼なら、クリスティーヌが惚れるのもわかります(#^^#)
          私、今回オペラ座の怪人をみて、初めて知ったことがあったのですが・・・。
          クリスティーヌが初めての舞台で大成功をおさめるシーンで、オーケストラの指揮者がのっかっている台の下に、人の頭のような人形がある!?
          あれはなんなんだー?どんな意味があるんだー?と思っていたのですが、あれって「プロンプター」と理解していいのかなー?
          本物のオペラは観劇したことがないので、よくわかりませんが、劇団四季を通じていろんな知識がついてくるのは、本当に楽しい。
          そして、劇中の登場人物の気持ちも、あーでもない、こーでもないと考えるのが超楽しいです。
          ソング&ダンス、今は広島方面に行ってるんですね。
          これも四季ファンにとっては、玉手箱のような歌と踊りで本当に楽しい!
          ぜひぜひ、楽しんできてください!(^^)!

  2. 水仙 より:

    佐野ファントムだったのですね。今週末行ってきます。楽しみです。
    そらはなさんの、突っ込みどころを見てきます。

    • そらはな より:

      水仙さんへ♪
      わー!今週行かれるんですね!
      楽しみですねー!
      ファントムというより、私は佐野さんをみていたような気がします。
      いまだに理解できていない場面もあるので、また観に行きたいなー。

  3. T M ♪ より:

    実は陰ながら『オペラ座の怪人』お好きな るり玉さん が どんなコメントを書かれるのか楽しみにしてました♪
    なるほど〜
    四季好きの方は、どの俳優さんで見たとかどの劇場のシャンデリア落ちは…とか、そういうの共有するのを楽しむんですね♪
    私、舞台1回のみ鑑賞、但し四季ではない。映画も映画館で1回見たきり。
    …という立場から参加させてください〜!
    違いをも語り(合い)たい性質でして(๑˃̵ᴗ˂̵)

    伝統ある劇場に、何かが憑いてるとはよく言われること。西洋に限らず日本でも。情念の集まりやすい場所なんじゃないですかね?
    舞台は関わった人の汗と涙と血を吸っている…とか(-_-;) それが100年分なんてなると…スゴイでしょうね!
    東京の歌舞伎座建て替えの時は「人柱5本」と言われてましたが、ホントに亡くなりました…。それ以上じゃないかな?(合掌) ご高齢の方やかねてより闘病中の方もいらっしゃったとはいえ。
    劇場に関してそんな背景ありつつ、実際のシャンデリア落下事件から妄想(?)は膨らみ、この原作が生まれたそうですね。
    現実にやったら犯罪になることを、こういった虚構の中で突き詰めていく…人間ならではの精神活動です。お膳立てもバッチリ♪

    ヤンデレという観点を今回初めて知りました。
    「人間ファントム」には 共感しますが、
    私は彼が病んでるとは思ってませんでしたねぇ。だって結局クリスティーヌをリリースしたんですよ?
    似たような境遇の人が全て凶悪になるわけではないけれど …永山則夫死刑囚ってご存じ?
    善悪の判断も、彼できなくはないと思う。でもそんなの突き抜けて敢えて非道なことやってる。
    現実でも人間て単純に勧善懲悪にはできていないものでしょう?
    誰の中にもルサンチマンはある…ニーチェが言ったんですけどね。発動せずに済むならばありがたいことです。
    清純なクリスティーヌちゃんの中にもあるのです。親の庇護を失った子どもがどんな目に遭うか…『小公女』『小公子』という物語もあるくらいですからね。
    彼女の心にも〝魔〟はあった。
    だから、選ばなかったもう一つの人生を想いながら生きたことでしょう。
    それ込みで彼女を愛し慈しみ続けたラウルはあのオルゴールを落札、墓前に供え…
    オレだけを見ろ的なケチくさい条件つきでなく、彼女の存在まるごと受けとめる男気ですね! 恵まれたお坊っちゃま貴族ながら、見上げた男でした。

    で!
    あの屋上の場面。
    マヌケな場面と思われましたか!
    そうですかぁ…
    観劇に慣れている空花さんにそう受け取れたということは、そういう舞台の作りだったいうこと?
    四季に抗議したいわ( *`ω´)
    彼の胸中の怒りとその表裏一体の悲しみに切なかったですねぇ。
    クリスティーヌちゃんになり代わって(‼︎) 後ろめたくもありました。
    だって ファントムはクリスティーヌちゃんには、2人にとっての最善のもの(=芸術) を惜しみなく与え彼女を引き上げ、彼なりの誠意を尽くしてるんですもの。真に芸術を志す者なら喉から手が出るほど欲しいものですよ。
    数年のうちには劇場にたくさんの歌姫や合唱の歌手、踊り子を見たことでしょう。
    その中でクリスティーヌちゃんだけ! 彼が惹かれ心から欲し執着したのはクリスティーヌちゃんだけだったのです。(涙)

    予断って案外コワイものですよ。
    人を見誤るときって、予断があったときが多くありません?「そんな人とは思わなかった!」ってヤツです。
    ヤンデレという予断で劇の世界観に入って、ファントムのことを見誤ったりはしませんでしたか?

    西洋文明社会において、
    〝並外れて醜い〟ことは私たちが想像するよりずっとずっとオオゴトかもしれません。
    なにせ古代ギリシャ以来、美=善 という価値観ですからね。

    • そらはな より:

      TM♪さんへ♪
      さすがTM♪さん(#^^#)
      経験豊富ですから、見方が本当に正当ですよね。
      観劇を純粋に楽しむには、TM♪さんのような見かたをすればいいのだなぁ・・・とつくづく思いました。
      劇団四季歴が長くなると、役者さん本人のこともわかってきて、前回は野獣を演じていた佐野さんが、どんなファントムになるのかしら?とか、ノートルダムのフロローも演じる役者さんによって、壊れっぷりが全然ちがうとか、そんな見かたをしてしまいます。
      四季の舞台のつくり方が悪かったわけではございません~。
      すべては、私の下世話な見方からのヘロヘロ火炎攻撃がおもしろく見えてしまったわけです。
      ファントムは怪人には思えませんでした。
      佐野さんの紳士な立ち居振る舞いが、時に切なく時に哀しく。
      結果的には、想像していたよりも「壊れていない」と思いました。
      もうひとつ、豊富な知識をお持ちのTM♪さんに質問です。
      クリスティーヌが、猿のオルゴールを見たのはファントムの地下室でしたが、彼女と怪人を深く結びつけるアイテムだとは思えませんでした。(映画版や原作には特別な思い出など描写されているのでしょうか)
      クリスティーヌにとっては、怪人の住処にたくさんあった物の中のひとつに過ぎなかったと思うのですが、なぜラウルと結婚したあとも、繰り返しラウルに猿のオルゴールのことを話していたんでしょう?
      私がクリスティーヌなら、ファントムのことを思い出す重要アイテムは、やはり仮面だと思うんですよね~。
      なんて考えていたら、もう一回オペラ座の怪人が観たくなってきた!
      だから劇団四季はやめられないのですよね~。
      いつも貴重なご意見ありがとうございます(#^^#)