93歳の母が、グループホームで暮らすようになってから、少しずつ安心できる日々が増えてきました。
会いに行くたびに、「ああ、この環境に支えられているんだな」と感じます。
今回も、そんな温かさに包まれた一日でした。
そっと部屋を整えて
母は食堂で過ごしていたので、声をかける前に母の部屋へ入りました。
持参した薄手の下着と洋服を、そっとタンスへしまいます。
タンスの中はきちんと整理されていて「スタッフさんがちゃんと見てくれてるんだなぁ」と、安心しました。
ベッドの上にはパジャマがありました。
前回は脱ぎっぱなしのようになっていたそれも、今回はきれいにたたまれてベッドの隅に。
小さなことですが、こういう変化がとても嬉しくて、「母が少しずつ慣れてきたのかもしれない」と思えました。
母との再会
すると、母が部屋に入ってきました。
きっとスタッフの方が「娘さんが来ていますよ」と声をかけてくれたのでしょう。
「こんにちは」と母。
見ると、母は一人で歩いてきています。
以前は歩くのを極端に怖がり、何かにつかまって歩いていた母。
それが今では、ゆっくりではあるけれど、手を借りずに自分で歩いてきた姿にびっくりしました。
ベッドに腰掛けた母の隣で、私はスタッフさんが用意してくれた椅子に座ります。
「膝は痛くない?」「ごはんは食べた?」「布団は寒くない?」と、いつものようにあれこれ聞きます。
すると、どの問いにも的確な返事が返ってきて、声にも張りがあります。
ときどき笑いながら話す母の姿に、「あぁ、楽しそうだなぁ」とほっとします。
食堂へ移動
母が「ここは寝室だから、向こうの部屋へ行こう」と言うので、一緒に食堂へ。
その道中も、母は私の手を取ることなく一人で歩いていきます。
いつもの定位置の椅子に腰掛けて、安心したように話しはじめた母。
「それで、あなたは誰?◯◯?△△?」と、私と姉の名前を交互にあげながらも、「娘のどちらかが来てくれた」という認識はちゃんとあるようです。
母は今日もとても元気でした。
「今はみんな年寄りを大事にしてくれるから、いい時代になった。本当にありやがたい。」と、何度も何度も口にしていました。
歌って、笑って、眠って
ケアマネージャーさんの話では、母は毎日お友達と歌を歌って過ごしているそうです。
入所当初は夜眠れずにウロウロしていた日もあったけれど、今ではよく眠って、よく食べて、安定して歩いているとのこと。
でも、そんな報告を聞かなくても、母の明るい表情や穏やかな様子を見るだけで、「ああ、ここで幸せに暮らしているんだな」というのが十分伝わってきました。
そして、ニベアの話
帰り際、スタッフの方が「とってもお元気ですよ」と話しかけてくれました。
「お肌も艶々でびっくりしました」と私が返すと、こんなひと言が。
「毎日ニベア塗ってますもんね」
そうなんです。
母は若い頃から、顔を洗ったあとはずっとニベアひとつ。
それだけで手入れをしてきました。
93歳になっても、母のお肌はしっとりなめらかで、シミもシワも控えめ。
その秘訣を、ちゃんとスタッフの方がわかっていて、日々続けてくれていることが、なんとも言えず嬉しいではありませんか。
母の「らしさ」が、ここでも守られているのだなと、また感謝の気持ちが込み上げてきました。
帰り道、「私もニベアにしようかな…」なんて思いながら、グループホームをあとにしました。
コメント
そらはなさん、お疲れ様です
母上のお話、いつも「そうだ、そうだ」と同感しつつ拝見しています。
私の実母。先日、要介護5の通知が来ました。
もう自分の足では立つこともできず、認知も衰えるばかりです。
悲観してもしょうがない、それが母の現実。
面会に行くと「どちらさん?」って言うから、自分の名を名乗って「娘だよ」と
言うと・・・「分かってるわ」って笑うんです
人をおちょくるとは・・・おかしいやら悲しいやら腹が立つやら・・・
老健で、どうぞ穏やかに痛み無く過ごせますように。
そう願う娘の心、母知らず。
それでも、面会に行く私・・・そらはなさんとおんなじです(涙)
ひろさんへ
お母様、オチャメですね(#^^#)
うちの母も、わからないのに話を合わせようとします。その辺が、まだ完全にボケていない証拠かなぁ。
私も、母がどこも痛いところもなく苦しいところもなく、穏やかに過ごせますように・・・ただそれだけです。