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認知症の母との接し方に変化 老健面会で気づいた寄り添い方

母が老健に入所して、3ヶ月が過ぎました。
面会は今も制限があり、部屋には入れず、面会室での15分だけ。
2週間に一度という決まりです。

大きな施設では、他の入所者とのバランスもあるので仕方がありません。

今回は6度目の面会。
限られた時間の中で、母に会えることが、今の私にとって小さな特別になっています。

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声に張り、歩き方もしっかり

入浴後だったこともあり、母の髪はきれいに整えられていて、身なりも小ぎれいでした。
歩き方もしっかりしていて、声には張りがあり、思わずホッとしました。

私の顔を見ても、誰なのかまではわからない様子でしたが、「自分に関係のある誰か」だというのは感じていたようです。

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思い出す名前、忘れていく名前

その日、母は私や姉の名前、孫たちの名前を口にしました。
そして初めて、私の夫の名前も出てきました。
なんだか、以前よりも記憶がしっかりしているようで、驚きとうれしさが込み上げました。

けれど、自分の夫、つまり父の名前は出てきませんでした。
「お父さん?今、どこにいるんだっけ?」と母。
私は少し迷って、「仏壇にいるよ」と答えました。

家にいた頃の記憶と、今と

母の話す内容は、在宅だった頃と現在が入り混じっています。

朝は玄関に新聞を取りに行って、パンを食べ、昼は冷蔵庫にあるもので済ませている。たまにカップラーメンも食べるよ、と。
おやつは仏壇にあがっているものをつまんでいる……そんな話をします。

今ではもうしていないことばかりだけれど、母の中では、今もそれが日常なのでしょう。

素直な「忘れた」が聞けるように

以前は、忘れてしまったことをごまかすように、母は作り話をすることがよくありました。
でも最近の母は、わからないことは「わからない」、思い出せないことは「忘れた」と、素直に話すようになりました。

「なんにも、わからなくなってしまったものね」
母のその一言は、切なさと受け入れの気持ちが混ざっていて、私の胸もぎゅっと締めつけられます。

私自身も、変わった

在宅で母を介護していた頃の私は、些細なことでイライラしていました。
母の勘違いや同じ話に、いちいち訂正したり怒ったりしていた日々。

そんな私をよそに、たまに来る姉は母の話をニコニコと聞き、否定せず、うまく受け流していました。
「私は姉のようにはなれない」と、いつも思っていました。

でも、母が施設に入ってから、私の心は不思議と変わったのです。

否定しない、ただ聞いてあげられる

母が老健に入所して、面会が「たった15分のイベント」になってから、私は変わりました。

母の話を否定せず、ただ耳を傾けることができるようになったのです。
昔の話でも、勘違いでも、それを正す必要がないと思えるようになりました。

この心の変化は、365日一緒にいた頃には得られなかったものです。

まるで、自分が少し仏に近づいたかのような感覚です(笑)。

面会室で不安になる母

それでも、面会室で母と話していると、母の表情に変化が出てきます。
見慣れない面会室にいることが、母を不安にさせるのです。

私と話しながらも、急に辺りを見回しては「ここはどこ?知らない場所だ、こんなところ嫌だ、早く部屋に戻りたい」と、何度も立ち上がろうとします。

そのたびに私は「今、部屋は掃除中だから、ちょっと待ってね」となだめます。
一度は落ち着くものの、またすぐに不穏になり……その繰り返しです。

本当は、居室で面会できたら…

本音を言えば、母の居室で面会できたら、もっと安心してもらえるはず。
けれど、大規模施設ではそれが難しく、現実は変えられません。

「会いに来ることで、かえって不安にさせているかもしれない」
そんな思いがよぎることもあります。

それでも、また会いにいきます。

話す内容はいつも同じ。
家族のこと、昔の話、何度も同じやりとり。

でも、私は母と穏やかに過ごせるこの時間を、心から大切に思っています。

否定せず、責めず、ただ笑っていられるこの15分間を、心から大切に思えるようになりました。

次の面会も、また同じような会話になるでしょう。
でも、それでいい。
それがいい——そんなふうに思える今の自分に、少しだけ誇らしさも感じています。

 

 

 

コメント

  1. ひろ より:

    そらはなさん、こんにちは。
    そらはなさんのお母さんへの思い、共感しかありません。

    以前の母と私。通いで買物とか日常の用事を手助けしていましたが、些細なことでケンカになり、お互い「私の気持ちを分かってくれない」と思っていました。

    でも、昨年末に老健入所→誤嚥性肺炎で入院(←いままだココです)の間に、母に対するマイナスな気持ちは無くなりました。
    それだけ母が弱ったこともありますが、現世と遠い過去の世界を行ったり来たりする母を見ていると、苛立ちや怒りは私から消え去りました。

    滅多に自分のことを褒めたりしない私ですが、いまはまるで自分が天使のようになった―なんて思ったりしています(笑)
    週に何度か面会に行き、プリンやゼリーなどのオヤツを母に食べさせる・・・自己満足だと思いつつ、大切な大切な母との時間になっています。

    先月には「覚悟して下さい」と主治医から言われましたが、なんとか快復。
    もう少し体調が落ち着いたら、母は老健に戻れそうです。病院や老健のみなさまには感謝しかありません。

    長くなってごめんなさい。失礼しました

    • そらはな より:

      ひろさんへ
      こんにちは!
      お母様、老健施設に戻れそうなんですね。よかったてすね〜!
      介護って、家族だけでささえるのは無理があると思います。肉体的にも精神的にも。
      私も、母が施設に入所して、今は心からよかったと思ってます。
      私も、天使になった気分〜♪