母が老健に入所したとき、「もう家には戻らないだろう」と覚悟していました。
それでも、「いつでも帰れるように」と思いながら母の部屋を整えておくことは、私自身の心を落ち着かせる支えになっていました。
そんな中、ずっと手をつけられずにいた冷蔵庫を、ようやく片付ける決心をしました。
冷蔵庫に残る食材と先送りにしていた気持ち
入所前に生鮮食品は片付けていましたが、冷凍庫には食材がそのまま残っていました。

冷蔵庫内は調味料類だけ それでも片付けられなかった
我が家の冷凍庫もいっぱいで、捨てるにはどこかためらいがあり、冷蔵庫の扉を閉じて見ないふりを続けてきました。
「今はそのままでいい」と自分に言い聞かせることで、母が戻らない現実に向き合うのを避けていたのかもしれません。
残された食材は、片付けられない私の心そのものを映し出しているようでした。
ようやく始めた片付け 一歩踏み出す心の整理
母が老健に入所してからまもなく一か月。
私自身も少し気持ちの整理がついたのでしょう。「そろそろ片付けよう」という気持ちが芽生え、重い腰を上げました。

8年前 父がなくなった後小さめの冷蔵庫に買い替えた
まずは冷蔵庫内の棚板を取り外し、中性洗剤で丁寧に洗浄。
その後、アルコールスプレーで庫内を拭き上げましたが、しつこい汚れは簡単には落ちません。
そこでハイターを使い、時間をかけて拭き取りました。

冷蔵庫がきれいになって気分が良い!
ピカピカになった冷蔵庫を見て、「これで母がいつ帰ってきても大丈夫」という思いと、「もう母は戻らないだろう」という現実が交錯する不思議な感覚を覚えました。
片付けを通して少しずつ進む気持ち
掃除をしている間、母の姿が何度も思い浮かびました。
最近では、レンジで温めるだけの冷凍食品すらどう扱えばいいかわからなくなっていた母。
冷蔵庫に入れたおかずを見ても、それが「食べ物だ」と判断できなくなっていた母。
きっと今頃施設では、用意された温かい食事をおいしく食べているはずです。
そう思うと、「これでよかったんだ」と少し安心する気持ちと、「もし帰ってきたときのためにきれいにしておきたい」という思いが入り混じります。
片付けを通じて、私も少しずつ現実と向き合えるようになっているのかもしれません。
一つひとつ片付けるたびに、「前に進んでいる」と実感しています。
母とのつながりを感じる片付けの時間
母がいなくなった部屋には、まだ多くのモノがそのまま残っています。
一度にすべてを片付けるのは難しいですが、少しずつ向き合いながら片付けていくことで、自分の心も整えられる気がしています。
母が大切にしていた場所をきれいに保つことは、今の私にとって母とのつながりを感じられる大切な時間です。

実家のキッチン これからひとつひとつ片付けていきます
これからも母との思い出を大切にしながら、ゆっくりと片付けを進めていこうと思います。
その時間が、母への感謝を伝え、私自身を前向きにしてくれるものになると信じています。
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