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軽度認知障害 新しいことを覚えるのは難しいけれど繰り返し行うと記憶が定着する

認知症になった時に、真っ先に衰えるのが「記憶」に関すること。
この記憶障害が元で、様々な症状が表れます。

父が亡くなったあと、軽度認知障害だと思われる母の言動に、昨年はずいぶん振り回されてきましたが、穏やかな春の陽気のように最近の母は穏やかで落ち着いています。
相変わらず新しいことは覚えられず忘れてしまうことが多い母ですが、何度も繰り返し行うことで、ある程度記憶として定着するのだということがわかってきました。

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認知症の原因

認知症の原因は、脳細胞がダメージを受け、脳の働きが低下して起こる一時的要因と、精神的・身体的ストレスなどによって起こる二次的要因があります。そして、たいていは一時的要因と二次的要因がからみあって、認知症が発症すると言われています。

老化により体の機能が衰えてくるように、脳細胞も老化していくのでしょうね。
しかし、脳細胞が老化してきても、症状は表れていないこともあり、そこに精神的・身体的ストレスが加わることで、認知症が一気に加速するということは、よくあることです。

母の言動も、数年前から「あれ?おかしいな」と思うことはありましたが、それは年齢相当の物忘れなんだと思っていました。
しかし、昨年父が亡くなったことで母の症状は一気に進みました。

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母の症状

幸い、母は日常生活はまだ一人で行えているので、認知症ではなく軽度認知障害だと思っています。
しかし、記憶障害は著明です。

記憶というのは、
■記銘力:新しいことを覚える力
■把持:覚えたことを保存する力
■想起:覚えたことを再生する力
という3つから構成されますが、認知症になって最初に衰えるのが記銘力です。

父が亡くなった後、たくさんの手続きをしなければならなかったのですが、当初私は、母が心配しないようにと、いちいちすべてを説明し母にどうすればいいか聞いていました。
すると、母はパニックとなりました。

「わからない、わからない」と言いながら怒り出し、「好きにすればいいでしょ!」と言った直後に「勝手なマネは許さない」と激高し、言動が支離滅裂。
その時は、母のそのような言動は、認知障害によるものだとは思っていなかったのですが、決定打は母が私のことを「財産争いする泥棒だ」と言ったこと。

認知症の始まり?私を泥棒だと言った母・・・そりゃないよ
抑えようとしても込み上げる嗚咽は、父が亡くなった時とはまた別の感情が入り混じっていました。 悔しさ、悲しさ、情けなさ・・...

 

この時から、私は認知症について調べるようになりました。
いろいろな情報を得ることにより、気持ちがずいぶん楽になりました。

母の現状

父が亡くなってからもうすぐ1年。
最近の母が、ずいぶん穏やかになったのは、飲んでいる認知症治療薬(レミニール)のおかげなのか、私が対応のしかたを考えて母と接するようになったからなのか、はたまた、父の死から時間が経って、母の精神状態も落ち着いてきたからなのか・・・それは定かではありませんが。

ちなみに現在の母は、
■簡単な食事は自分で作る
■洗濯も自分でしている(しかし、どうやら洗濯機は使わずに手洗いしている模様)
■部屋の掃除もしていて部屋の中はきれいに整頓されている

といった状態で、日常生活を送るには特に問題ありません。
夜は9時にはベッドに入り、朝は7時ころ起きるという規則正しい生活もしています。

しかし、外に出ることは極端に嫌がるようになりました。
これは、もともと母は股関節が悪く、長時間歩けないということもありますが、買い物はすべて私任せにしています。
病院の薬は私が定期的にとりに行っていますが、3か月に1度の受診も母はとても嫌がります。
さらに、以前は3か月に1度は近所の美容院へ行き、カットとパーマと白髪染めをしてもらっていたのですが、最近はそれすら行きたがらない。

父の一周忌の前には、なんとか美容院へ連れていきたいと思っているのですが・・・。

 

繰り返し行うことで定着する記憶

父がいたころは、母は父と一緒に買い物にも出かけていたのですが、父が亡くなってからは買い物はすべて私に一任するようになりました。
それは全然かまわないのですが、買ってくるものも「何かてきとうに」としか言わないのですよ。

これではますます自分で考えることをしなくなると思い、以前やっていた生協の宅配を再開することにしたのが3か月前。
最初のうちは「生協なんてそんなめんどうなものはやらない。やりたくない」と怒っていた母でしたが、毎週母の前で一緒にカタログを見て欲しいものを聞き出すようにしました。
すると、だんだん「パンが欲しい」とか「卵を頼もうかな」と、母も言うようになったのです。

次の段階では「カタログをみて、日曜日まで欲しいものを紙に書いておいてね」と母が自分でやるようにけしかけたのですが、やはり母はやっていない。おそらく生協のことは忘れてしまっていると思われるのですが、
「生協の注文するもの書いた?」と母に聞くと、「なんにも欲しいものなんてないよ」と言う。
「忘れてた」とは言わないところが、認知症特有の自分に不利なことは認めない、自己有利の法則なのでしょうね。
なのに、目の前でカタログを一緒にみると、「りんごを頼もうか」などと言ってくる。

それでも、こんなことを3か月続けていたら、ついに先週、母が自分で注文したいものを自分で紙に書いていたではありませんか!

これって、なんだかすごい進歩!
認知機能の低下は、良くなることはなく徐々に悪化していくものだと思っていたのですが、毎週毎週繰り返し同じことをやっていると、記憶って定着するのかなぁ?覚えられるのかなぁ?

そんな希望すら持たせてくれました。

 

長寿大国日本。
長生きをすればするほど誰でも認知症になりうるとも言われています。
それは、いずれ私も行く道でもあります。
記憶が徐々に失われていくのは、とても悲しいことだけど、せめて心は穏やかに、何に対してもおもしろがって楽しく暮らしていけたら、いいなぁ。

母をみながら、そんなことを思っています。

コメント

  1. とも より:

    こんにちは。お母様のご様子、落ち着かれていらっしゃるようで、何よりです。

    そらはなさんもこの一年、本当に色んなことがあり、対応されましたね。頭が下がります。

    うちのご近所に80代と70代の独居女性がみえます。そのお二人がどーも初期の認知症ではないかと。お二人共、それはそれはしっかりしたおばあちゃんでした。
    80代の方は、身なりはきちんとされてますが、1分前に話した会話を覚えてないので、同じことを何度も話すことになる。
    70代の方も顕著な物忘れと激昂、おしゃれさんだったのに毛染めとかもしないで、すっかり老け込まれました。
    80代の方は子供さんがいない、70代は子供とは別居してみえます。
    近所の方々もわかってみえますが、確証のないことを親族には話せない、かといって放置するのも心苦しいです。デリケートな問題なので難しいです。
    超高齢化社会は、家族だけでなくご近所、友人、公的機関など、たくさんの人の支えが必要な時代ですね。

    • そらはな より:

      ともさんへ♪
      いつも適切なアドバイスありがとうございます(#^^#)
      ともさんのご近所のご婦人も、心配ですね。
      家族でないと、なかなか口に出せないこともありますし、どこまで介入してよいかわからないですよね。
      うちのご近所も、一人暮らしだった女性は亡くなり空き家となりました。
      お隣さんは、自己破産?し、自宅を売りにだすようです。そのまたお隣さんは、ご主人が亡くなり、娘さんのところへ引っ越すとかで、やはり空き家になるようです。
      だんだん町内から人が減っていきます。なんだか日本の人口が減るというのを目の当たりにしているような感じです。

      • とも より:

        私のご近所も空き家だらけです。こちらに嫁いで20年。自分も自分のまわりも、ずっと同じではないんだな。と痛感させられます。本当に諸行無常です。
        人口が減ると、町内会の運営など別の問題も出てくるので、困ったことです。