スポンサーリンク

ヘルパーを非難した母をみて認知症の介護は家族だけでは無理だと思った出来事

認知症は、新しい記憶をインプットすることは難しくなりますが、「うれしい」「楽しい」「悲しい」「嫌だ」といった感情は長い時間残ると言われています。
特に負の感情のほうはいつまでも残るので、不愉快な感情だけが独り歩きをし、行動や心理症状がますます悪化してしまいます。

ヘルパーさんが母のところへ来るようになってから2~3週間経ったある日、母が突然怒り出したのは、不愉快だと思った負の感情が残ったことによるものでした。

スポンサーリンク

とんでもないヘルパーだと母怒る

いつものように仕事から帰って母の部屋へ行くと、母は待ってましたとばかりに「ちょっと!これ見て!」と怒った様子。
お皿に盛られた料理にはラップがかけられていたのですが、そのラップが皿に対して大きすぎると母、怒り心頭。

あのヘルパーはとんでもない人だ!
こんな小さい皿に、こんなに大きくラップを使わなくてもいいじゃないの!
こんなにラップを無駄に使って、本当にひどい!
いったいどういうつもりだ!

ヘルパーさんは、母のお昼ご飯を準備してくださるのですが、出来上がった料理にはラップをかけて帰ります。
見ると、確かにお皿にはやや大きめなラップがかけられていますが、特に気になるほどでもありません。

「ひどいよ!あのヘルパーは常識ない!こんな皿にこんなに大きなラップをかけて!」と母は言いますが、キッチンには幅の大きいサイズのラップしか置いてなかったのです。

「しかたないよ。だってこのサイズのラップしかないんだから、ヘルパーさんもこれを使うでしょ」

と私が言うと

「だったらハサミを貸してください、って言えばいいでしょ!」

と母。

うーん。ラップをわざわざハサミで切って使うという発想は、今どきの若い方は無いでしょうし、私だってそんなこといたしません。
興奮気味の母にどんなに説明しても無駄なので、とりあえず母の日用品をストックしている場所から小さいサイズのラップを持ってきました。

スポンサーリンク

使ったラップをしまう母

「ヘルパーさんには、今度からこっちのラップを使ってもらおう」と母に言って、なんとか母に落ち着いてもらうよう話をしたのですが、その後の母の言動にさらにびっくり。

ラップを何枚も使ってもったいないから、ここにしまっている

冷蔵庫の中には、なぜか空っぽの皿の上に3枚の使い古しのラップがヨレヨレになった状態で保存されています。
新しいラップはたくさんあるからと、母を何度も説得するも
「私が使うから」と一点張りの母。
しかし、こんなラップが冷蔵庫の中にしまってあったら、明日来たヘルパーさんもびっくりです。
何度も母に説明し、ようやくそのヨレヨレのラップを捨てることに成功するまで10分は要しました。

母は、モノを大事に丁寧にいつまでも使う人なので、家の中には使っていないのに一度も使わずにしまわれているモノがたくさんあります。
しかし、いくらなんでも今まで使い古しのラップを冷蔵庫にしまったりしたことなんて、あったかしら?
ラップが何もないのならまだしも、保管場所には粗品などでいただいたと思われるラップやアルミホイルやティッシュや洗剤などなど、山のようにあるのです。

元来のもったいない精神に、さらに輪をかけてひどくなったのは、認知症のなせる業でしょうか。

私とヘルパーの言うこと、どっちを信じるんだ

ラップ事件がひと段落し、私も自分の部屋へ戻ってきました。
すると数分後、母がまたしても興奮気味にやってきました。

なんでヘルパーは食事を作るんだ?

そして、「ここ数回はヘルパーは掃除もしないで食事の準備だけして帰る」と言うではありませんか。

ヘルパーさんは、訪問介護時に記録を残していってくれます。
それには、掃除した場所や要した時間、食事の準備や配膳といったことが記載されていて、その日の母の様子も数行記録してくれています。
「会話良好、笑顔見られる。掃除の仕方を教えてくださる」などなど、それだけ見たら、母が認知症だなんてまったくわからないほどです。

食事だけ作って帰るなんてことはしてないよ。ちゃんと毎回掃除をしてくれてるんだよ。

私が記録を見ながら母に説明しても、母はそれを全否定。
母に何度も何度も、ヘルパーさんが掃除もちゃんとやっていることを繰り返し話しているうちに、母は声を荒げて言いました。

 

あんたは、私の言うこととヘルパーの言うことと、どっちを信じるのだ!

 

母の言い分と私の推測

ヘルパーさんが掃除をしていないと、母が言い張る根拠は、トイレ掃除用の雑巾がカラカラに乾いていたから。
トイレがなんだか汚れているのが気になって、雑巾をみてみたら乾いていた。
すなわち掃除をしていない証拠だという母の言い分。

そして私の推測。
ヘルパーさんがトイレ掃除をしたのは月曜日。
水曜日は洗面所と廊下の掃除をしているので、ヘルパーさんも1週間の配分を考えて行動しているのだと思われます。
そして母が怒っていた日は木曜日。
そりゃ月曜日にトイレ掃除をして、3日も経てば雑巾だって乾いているよねぇ。

しかも、ヘルパーさんが来た水曜日には何も言っていなかった母なのに、なぜに次の日になって怒っているんだろう。

認知症の負の感情

おそらく母は、ヘルパーさんが使ったラップの大きさが気に入らなかったのでしょう。
その嫌な感情がいつまでたっても残っており、次第にヘルパーさんに対して怒りや不安が増幅したいったのではないでしょうか。

使い古しのラップが3枚あったということは、2~3回前の訪問介護時からではないのかなぁ。
毎回来る度に、大きなラップをお皿にかけられて、母は少しずつ嫌な感情が蓄積していったのでしょうね。

その結果、「食事は作ってもらいたくない」→「掃除をせずに食事だけ作っている」という思い込みに至ったのではないかと思われます。

認知症になると、人から聞いたことや自分が話したこと、体験したことをすぐに忘れてしまいます。
しかし、感情の部分はいつまでも残ります。そしてやっかいなのが、嫌な感情のほうが長く残るということ。
そのモヤモヤした感情から、被害妄想的な言動に移行してくということを、このたび母を見ていて学習しました。

母への対応の仕方

「そうじゃないでしょ」「それはちがうよ」
などと言った対応の仕方は、例え母が言っていることが間違いだとしても、逆効果なのです。
正しいことを伝えて、母に理解してもらいたいと思っても、理解力・判断力の低下した今の母にとっては、無意味なこと。

それどころか、私が否定することで母は私に対しても嫌な感情を抱くのですよね。
「あんたは、私の言うことと、ヘルパーの言うこと、どっちを信じるんだ」という母の言葉は、まさしく母の心の叫び。

認知症の人への接し方としては、同情する、共感する、認めることが大事だと言われます。
たとえ、100%間違っているとわかっていても・・・ね。

だけど!!

私に対して母が怒るのならば、まだなんとか我慢できます。
が、一生懸命やってくださっているヘルパーさんに対して怒っているのは、あまりにも気の毒。
私は、母よりもヘルパーさんをかばってしまったのですよね。

認知症の人には「自分が思ったことが絶対的事実」という原則があるそうですが、これを理解しないで否定するとますます症状がひどくなるのだとか。

ええーーーっ!
私には、無理!!!

認知症の介護が、家族だけでは無理だというのが、よーくわかった出来事でした。
まだまだ先は長いのに・・・。

 

コメント

  1. Kumakuma より:

    こんにちは、私もその様なこと体験したことあるし、文字に起こすこと出来なかったけどまさにその通りだと、分析されたことも正しいと思います。ヘルパーさんへの不信感は取り除かれるのでしょうか?その後の事、後からお知らせしてもらいたいです。
    うちの義母は、義母のお友達が温泉誘ってくれて、自宅のお風呂は入っていないようです。V字回復したようで、あの頃はナンだったんだろう?って、義母のお友達と義母の居ない所で話したりしています。現状維持が続く事を願って居ます。

    • そらはな より:

      kumakumaさんへ♪
      これからどうなっていくのかわかりませんが、母もヘルパーさんもお互いが心地よく接することができるというのが目標ですかねぇ。
      ヘルパーさんはプロなので、母のこういった言動も慣れたものだと思うのですが。
      お義母さん、V字回復だなんてすごいですね。
      やっぱり外からのいろんな刺激は大事ですよね。

  2. 麦おばちゃん より:

    身近な人に振り回されるのは本当に疲れますよね、、、
    堪忍袋の尾を切らないよう、、、
    ストレス発散して下さいね。

    認知症が治らなくとも
    嫌な感情は忘れ
    いい感情だけ残る
    薬が開発されたらいいな

    • そらはな より:

      麦おばちゃんさんへ♪
      あ!いいですね(#^^#)
      嫌な感情はすぐに忘れて、楽しかった記憶だけが残るって。
      私もそんな薬を飲みたーい!

  3. るり玉 より:

    こんばんは。

    ヘルパーで家事支援に行ってた私からすると、
    ヘルパーへの心配はご無用よ。
    お母さんはそらはなさんが娘だから負の感情を出してるんだと思うの。
    ヘルパーさんが記録されているように、
    お母さんは他人であるヘルパーさんにはにこにこしてると思うなぁ。
    でもきっとその中で、ラップのように、気に入らないこともあるんだと思うの。
    ヘルパーさんの前では出せない負の気持ちにうなずいて、
    「ほんとだ、そうだねぇ」と気持ちが落ち着くまで聞いてあげていいと思います。
    捨てられないラップも、捨てなくてもそのまま置いてあってもヘルパーは平気。
    申し送りできるノートとかあればその旨書いてあれば、
    うまく見て見ぬふりをしてくれると思います。
    私も冷蔵庫に入れ歯があったり、お鍋にバナナがまんま入ってたり、
    ちょっと書けないようなこともたくさん経験してきました。
    ヘルパーさんが来るからということで、そらはなさんが気を遣って気疲れしてしまっては本末転倒よ。
    お母さんの気持ちには共感してあげて、
    気になることはそっとヘルパーさんに伝えておく、でいいと思いますよ(*´∇`)ノ

    • そらはな より:

      るり玉さんへ♪
      なるほど、なるほど。
      ものすごく説得力あるお言葉です。
      先日、ヘルパーさんにちょっとお話を聞いたら、やはり母はヘルパーさんの前ではニコニコしているとのこと。
      トイレ掃除も毎回してくださっているとのことでした。
      結局、母はその後何事もなかったかのようにしています。
      私もあえて話を蒸し返すのもなんだし、そのまま黙っています。
      今度、母が何か言ってきても、その時は母に共感することができたらいいな。
      うーん、これが一番難しい((+_+))

  4. とも より:

    うーむと唸ってしまいました。
    そらはなさんも少しは心配していらしたのでは?
    他の方のコメントにもあるように、ヘルパーさんは色々な家庭に行かれているし、問題が起きても、他のヘルパーさん達と話し合って、最善の対応を考えてると思います。
    義父もヘルパーさんには不平不満は言いませんが、後からぶちぶちと愚痴ってました。聞くのは結構めんどくさーと思ってました。
    お母様も慣れるまでには時間がかかるでしょうが、やはり生活にメリハリができると思いますよ。
    認知症になると、ただ忘れるっていうだけでなく、性格の特徴が強く出るように思います。我が母は、若い時に父に苦労をかけられたので、その話ばかりします。
    責めてるのではなく、悪気もないのですが、思い浮かぶようです。いつまでも言われる父も可哀想な気がします。
    支える家族は、みんな素人です。ぼちぼちと見守っていけるといいですね。

    • そらはな より:

      ともさんへ♪
      結局、あんなに騒いでいたのに、翌日には何事もなかったかのように何も言わない母でした。
      「今日ヘルパーさん来てたよね」と聞いても「来てたね」
      「掃除やってもらったの?」と聞いても「その辺適当にやったんじゃないの?」と。
      一時的にカァーとなって騒いでも、それにのせられて私も一緒になって騒いじゃダメってことなんでしょうね。
      もっと冷静にならねば・・・。

  5. すず より:

    これから大変になってくる感じですね。ヘルパーさんに対する負の感情。なんとなくわかります私の祖母はアルツハイマーだったんですが軽い頃に自宅(団地です)でヘルパーさんを頼んでいたのですが勝気な祖母に対してきちんとしすぎてた(たぶん・・)ヘルパーさんとはどうも折り合いが悪く替えていただきました今度はおおらかなタイプの方。この方とはうまくいきました。ヘルパーさんとの相性もあるからお互い無理をせずに変わってもらうのも手ですね~ヘルパーさんとの一番の問題は祖母がもっとしてほしいと思う行動とヘルパーとしての仕事規定との折り合いがつかなかったこと。東京都横浜と距離があったので母は通って祖母の様子を見ていたので仕事も看護助手とハードで心身共に大変そうでした。身内をも守るならそらはなさんのように近くに住んでいてあげるのが一番理想ですね!
    そういえば・・・義母は認知症になる前から仏壇にあげた線香の香りのするごはんを毎日皿に戻して冷凍線香ごはんを作成していました。捨てられない年代なんだと思ってたけどあの行動も認知症のはじまりだったのかなぁ??それを食べなさいと出されたらしい主人(^_^;)拒否したらしいです

    • そらはな より:

      すずさんへ♪
      ヘルパーさんとの相性ってたしかにあると思うんですよね。
      保育参観ならぬ、介護参観、してみたいですよ(;・∀・)
      母がヘルパーさんにどんな対応をしているのかみてみたいなぁ。
      それにしても、冷凍線香ご飯はカンベンしてください・・・ですね。

  6. 白雪さくら より:

    そらはなさん、こんにちは~☆彡
    おひさしぶりのコメントになります、白雪です(#^.^#)

    そらはなさん、とても一所懸命に対応されてるな~といつも思います。
    一呼吸置いて、受け止めて…と頭で分かってても、心がついて行かなくて、実際には難しいことばかりですよね。
    共感する=同意する、じゃないんですよね。
    「自分が思ったことが絶対的事実」だというのがお母様の世界だったとして、そらはなさんもそれに100%同意できないし、する必要はないんですよね。ただ、お母様がそう思っておられる、という事実を受け止めて、「ああ、そうか。そうなんですね。あなたはそう感じているのですね」と認めることができたらいいのかな。
    妄想への対処法は、「(妄想の中身を)肯定も否定もしない」ことだそうです。
    肯定したら妄想が強化されちゃうし、否定したら相手にとっての絶対的事実を否定することになっちゃうから、というんだけど、実際にはホント難しいですよね。
    福祉のプロの方は、ときどき相手の事実に合わせて「うんうん、そうだね」と聞いてることもあるようですね。そうすると、反論されないで話を聴いてもらうことで、ご本人の気持ちが落ち着いて、妄想も治まってくる場合もあるみたい。
    だけど、家族まして自分の親だと、それは難しいですよね~!その場しのぎに適当にうんうん言ってるみたいで抵抗あったりします。
    話の内容じゃなくて、話してる本人の気持ちに共感・共観するって言われても、やっぱり難しいです。でも、そらはなさんの仰ってるように先は長いから、これからですよ。
    いつか、穏やかに共感できる日が来ますように。

    そして、ご自分のことなら我慢できても他人を悪く言われると反論したくなるそらはなさん。そのお気持ちも尊いし大事だと思います。
    お母様の怒りに巻き込まれず、受容し傾聴するって、難しいですよ。
    でも、試行錯誤ってことで、次は反論しないで「そうだよねぇ」と徹底的に聞いてあげる、という対応をとってみることもアリだと思います。

    お母様、ヘルパーさんの前では、いろいろガマンしておられるのかもしれないですね。
    もともと礼儀正しいしっかりした女性みたいですし、見栄張ったり社交的に振る舞ったりしておられるのかも。ヘルパーさんや外部の人の前ではいつもニコニコしてしっかりしてて、外からは全然認知症に見えないって方、おられます。でも家族の前では症状ひどくて、それが他の人にわかってもらえないから大変。あげく症状は重くなったのに要介護度が軽く認定されて支援が減ってしまったりも…。

    ご本人の支援だけじゃなく、家族に対する支援も、とっても必要とされています。家族が困っていることも、どんどんケアマネさんやヘルパーさんに相談していいと思います。

    でも、そらはなさんに対するお母様も、ヘルパーさんに対するお母様も、どちらも「ほんとう」なんですよね。どっちかが嘘の姿とかじゃなくて。

    お母様に、嬉しいこと・楽しいこと・心地よいことがたくさんありますように。
    そらはなさんにも☆彡

    • そらはな より:

      白雪さくらさんへ♪
      ひとつひとつの言葉が、ストンと心に落ちました。
      共感すると同意するとはちがうこと。
      妄想は、肯定も否定もしないこと。
      受容と傾聴。
      本当に、これができたらもう私、仏になっているかも(^-^;
      ありがとうございます。
      これからも前向きにとらえて、暮らしていきたいと思いました。