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劇団四季ノートルダムの鐘感想 三者三様の生きざまを観た

友人が「ノートルダムの鐘」を観たいというので、チケットを2枚とりました。
今回は、私が行くのではなく、友人が他の誰かと行くために2枚とったもの。
しかし、友人の友人が急に行くことができなくなったため、急きょ私にお誘いがかかりました。

えっ!そんな急に・・・。

とか言いながら、私即答。
「行く!」

というわけで、真夏の横浜へ劇団四季ノートルダムの鐘を観に行ってきました。
3回目の観劇感想です。

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ノートルダムの鐘 キャスト

やってきました。神奈川芸術劇場。
6月に来て以来なので2カ月ぶり。

来週には神奈川公演も千秋楽を迎え、名古屋に行ってしまうので、ノートルダムの鐘ともしばらくお別れ。
見納めに来ることができてほんとによかった。

3回目の観劇となるノートルダムの鐘ですが、劇団四季は演じる役者さんによって物語の雰囲気が微妙にちがってきます。
だから、同じ作品でも気に入ったものは何回でも観て、あーでもない、こーでもないと考えるのがまた楽しいのです。

前回観た川口フロローにすっかり魅了され、あわよくばまた川口フロローであってほしいと願っていました。
また、初めて観た時の飯田カジモドにも会いたくて、ちょっとばかり期待をしておりました。

 

そして今回のキャスト。

カジモド:田中 彰孝さん
フロロー:野中 万寿夫さん
エスメラルダ:宮田 愛さん
フィーバス:光田 健一さん
クロパン:阿部 よしつぐさん
ひゃーっ!
カジモドが田中さん。
どうしてもライオンキングのシンバのイメージが強くて、どんなカジモドになるのか想像もつきません。
フロローの野中さんとフィーバスの光田さんも、初めてです。
以下、今回観た私のノートルダムの鐘の感想です。
あくまでも私がそう感じ受け取った印象ですので、かなりの主観が入っています。
というか主観だらけです。
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カジモドの病気と障害

その前に、カジモドの病気や障害ってなんだったんだろうと考えました。

ノートルダムの鐘の原作である「ノートルダム・ド・パリ」には、「背中と目の上に瘤があった」と描写されていますが、フロローが弟のジェアンから赤ん坊であったカジモドを受け取った際には、一目みて「化け物だ!」とフロローが叫んでいることから、先天的な奇形で顔に瘤があって生まれてきたのでしょうね。

また、多くの方が推察されているように、カジモドはノートルダム大聖堂の屋上に閉じ込められ、鐘撞男として育てられたわけですから、歪んだ骨と体は日照不足によるくる病によるものだと思われます。

で、今回ノートルダムの鐘を観ていて思ったのですが、ジェアンがカジモドの母親は「6週間前に天然痘で亡くなった」と言っているんです。
現在は天然痘は撲滅しましたが、当時は致死率が20~50%と非常に高いものでした。
高熱と全身に豆粒状の丘疹が現れ、呼吸器や消化器などの内臓にも及ぶと肺が損傷され呼吸困難で亡くなってしまいます。
おそらくカジモドの母も、呼吸器系がやられちゃったんでしょうね。

そして、天然痘の感染力は非常に強く、潜伏期間は2週間。
ということは、もしかしたらカジモドも天然痘に罹患していたのでは?と思ったのですよ。
天然痘の丘疹はやがて膿疱となるので、カジモドの顔はきっととてもひどかったと思うのです。

運よくカジモドは生きながらえたのですが、きっと顔や体中には天然痘の膿疱が瘢痕化し、もしかしたらこれが原因で顔の皮膚がひきつれて、口元も歪みうまくしゃべれなくなったのかなぁ・・・なんてことを思いました。

よって、カジモドの病気と障害は、何らかの原因による先天性の奇形で、顔にある瘤は大きくなっても癌化することなくそのままあるってことを考えると、リンパ管種じゃないだろうか?
そして、母親から感染した天然痘による膿疱の瘢痕化による皮膚のひきつれで、口元はゆがみ、手や足もうまく動かせなくなったのではないだろうか?
さらに、日照不足によるくる病も発症し、背骨が曲がってしまった。
そして、毎日大音響の鐘の音を間近に聞いて育ったので、難聴となってしまった。

と考えると、カジモドの知能指数はごくごく普通だったけれど、フロローによる歪んだ教育の押し付けにより、また他人と一切関わらずに育ったことにより、社会性や精神年齢が低くなってしまったのかもしれませんね。

3人のカジモドたち(飯田・金本・田中)

さて、私がイメージするカジモドは、精神年齢もちょっと幼くて、知能もちょっと低くて、だからこそ純粋で穢れを知らず、フロローに従順に仕えてきたというイメージ。
だからノートルダムの鐘を初めて観た時の飯田カジモドが、そのまんま私の中のカジモドとして定着してしまいました。

話をするときは顔をゆがめ、舌足らずな言い方をし、無邪気に喜んだり怒ったり、自分を責めたりと、素直で純粋無垢な感じ。
しかし、歌い出すと低音の、それでいて伸びやかな歌声で、飯田カジはじんわりするんですよ。

2回目に観た金本カジも、飯田カジに近いのですが、もっと子供っぽさが残る純粋な感じ。
だから守ってあげたくなるんです。
エスメラルダが母のように慈愛に満ちた感じでカジモドに接するのが、よく伝わってきましたもんね。

そして今回観た田中カジ。
とにかく歌の上手さはダントツ。
高音が伸びる、伸びる。ソロなんて痺れるくらいの美声でゾクゾクします。

でもね、どうしてもどーしても、その美声が時に、サバンナに響くシンバの歌声に聞こえるんですよ。
田中カジは、そんなに顔も歪めて話さないし、声こそちょっとしゃがれさせて話すけれど、ひとたび歌えば抜群の歌唱力。
だから聞き惚れちゃって、障害や病気のあるカジモドだってことを忘れてしまうんです。
そうなると、田中カジの表情にシンバが見え隠れするんです。
そんなに足をひきずって歩く様子もないし、元気よくスタタタターっと上によじ登っていく姿は、プライドロックに上がるシンバかーいっ!って思ってしまいました。

ということを踏まえると、飯田カジはちょっとだけ知能が低く、金本カジが低いのは精神年齢であって、そして田中カジは、知能はいたって普通だと思えました。

だから、最後にカジモドがフロローを殺してしまったあと、
飯田カジモドは「悪人は罰を受けるんですよね、ご主人様!」と、自分のしたことを誇らしくフロローに報告し(亡くなっているけれど)
金本カジモドは、フロローを殺してしまった後に、少しずつ精神年齢も上がってきたがために、あとあとものすごく後悔することになり
田中カジモドは、もともと知能レベルは正常であり、フロローに心底憎悪を感じていての殺害だったため、「死んでくれて清々した」と思っているかも。

などなど、いろんなことを想像しました。

はーっ。
おもしろすぎる。
同じ物語なのに、演じる役者さんがちがうとカジモドの背景も違ってみえてくるんですよ。

3人のフロローたち(芝・川口・野中)

そして私は幸運なことに、フロローも3人の役者さんで観ることができました。

最初に観た芝フロローは、まさに聖職者って感じで、清らかでした、最初はね。
ところがエスメラルダに出会い、壊れて狂っていく様子は、まさに地獄の炎状態。
それでも私は、芝フロローの話し方や歌い方が、自分の描くフロローにピッタリで、ド・ストライクだったんですよね。
だから、エスメラルダに「私か火あぶり、どちらを選ぶ」と言い寄った時、エスメラルダは「無理!」とばかりに火あぶりを選んだわけですが、私がエスメラルダならば芝さんを選ぶのにな・・・とまで思いました。

2回目に観た川口フロローは、若くてイケメン。
ジェアンを見る目は、やさしさに満ち溢れていて、しかしエスメラルダによって自分の理性が失われていくと、目つきが豹変。
視線がネチッこくてとにかく気持ち悪い。ストーカーってこんなんだろうな、と震えあがるくらい怖いフロローでした。
あんなにイケメンで若いフロローですが、川口フロローならば私も火あぶりを選択します。

そして今回の野中フロロー。
もうね、正直に言いますと、野中さん、人がよすぎて近所にいるおじさんに見えてしょうがない。
聖職者のようなオーラが感じられないのですよ。ごめんなさい、野中さん。
だから激高するシーンも、近所の野球少年が打ったボールが窓ガラスを割り、それを怒る雷オヤジ的な感じと言いますか・・・。
エスメラルダに言い寄る場面も、初めてリオのカーニバルを見て踊り子さんに色ボケしてしまったかのような感じで。ごめんなさい、野中さん。

ああーっ。これもみんな野中さんのお人柄なのでしょう。
歌はとてもお上手なんだけど、今回はどうしても気高い聖職者には見えなかったな・・・。
だから、最後にカジモドがフロローを持ちあげて大聖堂の屋上から突き落として殺してしまう場面でも、「そんな!なにも殺さなくても!」と思ってしまいましたもんね。

これも3人のフロローを比べることができたからこその感想です。
だから劇団四季はやめられないっ!

番外編 光田フィーバスの声がデカすぎる

今回初めてお目にかかった光田フィーバス。
めちゃくちゃ背が高くて、めちゃくちゃいい男で、まさに色男。
そして歌もとっても上手いのですよ。
声もとても伸びて艶があります。お腹の底から声を出している感じもあって、声がとにかくよく通る。

ところがあまりにも声が大きいから、1幕最後の「エスメラルダ」を歌うシーンは、ちょっと残念に思ってしまいました。
この曲は、カジモドとフロローとフィーバスの3人が、エスメラルダを捜して心の叫びを表現する歌なので、それぞれの想いがどんどん重なり畳みかけるようにハモる最高のクライマックスシーンなんです。
なのに、光田フィーバスの声がデカすぎて、フロローやカジモドの声がかき消されちゃってました。
これって、音響効果のほうで調節できるんじゃないのかなー?
フィーバスのマイクをちょっと抑え気味にしてくれないかなーなんてことも、今回初めて思いました。

ノートルダムの鐘感想まとめ

さんざん好き勝手なことをほざいてしまいましたが、これもすべて私の劇団四季愛です。
ノートルダムの鐘は、ヒューマンドラマであり、観終わったあともいろんなシーンを思い出しては、登場人物の気持ちについて自分なりに解釈し、考え、悩みます。

そしてCDを聴き、さらに気持ちが高まり、ぎゃーっ、また観に行きたい!という精神状態になり、まんまと劇団四季のループにはまるわけです。

次回、いつノートルダムの鐘を観ることができるかわかりませんが、その時も別の役者さんで観てみたいな。
いつか歳をとって、出歩くことができなくなりますが、その時までは行ける時に、行く、出歩けるうちに出歩ける、そうできるよう、私の日常は小さな節約で成り立っているのです。

さらにおまけ 阿部クロパンがかっこいい!

今回も阿部クロパンは最高の歌と演技を魅せてくれました。
あの足つき、腰つきが、ジプシーのあざとさ、いやらしさをすべて物語っていて、阿部さん大好き!

と思っていたら、なんとなんと!
神奈川芸術劇場から私服で出てきた阿部さんを目撃!
生の阿部さん、めちゃくちゃかっこよかったよー。

一緒に写真撮りたかったけれど、あっという間にものすごい速さで歩いて帰っていきました。
そっかー、役者さんって電車で帰るのか。
出待ちしていたら、他の役者さんにも会えるのかもしれないな。
なんて期待も高まり!

だから劇団四季はやめられないっ!

 

エスメラルダの気持ちになりたくて、カトリック山手教会まで行ってきました。

 

観るたびに感動【劇団四季ノートルダムの鐘】今回はキャストがすごすぎた!
たぶん中毒だと思われます。 だってずーっと頭の中でノートルダムの鐘のことを考えていて、観てきたばかりなのに次はいつ行こう...

コメント

  1. るり玉 より:

    そらはなさぁ~ん。。。

    私も熱い語りに参戦したかったよぉ。。。
    4月行くはずだった横浜。。。
    行きたくても行きたくても、どうしても行けないことがある一方で、
    思いがけず行けちゃうこともあるのね。
    そらはなさんが羨ましいよぉ。。。
    いつか観れる日は来るのだろうか。。。

    万寿夫さん、気のいいおじさんだったのね(笑)
    阿部よしつぐさん、エロかっこいぃクネクネダンスと個性的な声、一度見たら忘れられない。
    いつかどこかでお目にかかりたいわ。
    いろんなキャストで観れてよかったね♪

    • そらはな より:

      るり玉さんへ♪
      るり玉さぁ~ん!
      ほんとに、ホントに一緒に語りたかったですよ~。
      でも、劇団四季は逃げません。
      だからいつか必ず機会が訪れます。
      その時は、必ず熱く熱く語りましょう!(^^)!

  2. しっぽ より:

    むかーしむかしキャッツを観たことがあるのだけど、タモリじゃないけど、なんでここで歌うねん!と、ミュージカルにはまらなかったのですが。演劇は観に行くことはあるのですけど。

    だけど、そらはなさんの熱い熱い語りに(笑)、思わずもいっかい観てみようかと思ったりして。観たことないのに情景が浮かびましたよ。描写も素晴らしい。

    どハマりできるってうらやましい。生きるハリになりますね!

    • そらはな より:

      しっぽさんへ♪
      うはははは(^-^;
      わかりますよ~。私も昔はタモリさんの言う通り「なんで急に歌い出す?」って思っていましたもんね。
      ミュージカルに対して、実はちょっとだけ小ばかにしていたところもありました。
      でも、劇団四季の美女と野獣をみてから考え方が180度変わりましたもんね。
      ミュージカルそのものも楽しいのですが、それに取り組む役者さんたちの一生懸命な姿に心を打たれてしまいました。
      四季劇場がお近くにある人がうらやましい。
      浜松町に住みたいと本気で思っています。(絶対に無理だけど)