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認知症の母 施設入居のタイミングを考える

母は92歳。
8年前、父が急逝したことで認知症の症状が目立つようになりました。

それでも、手助けさえあれば自分のことはなんとか自分でこなしてきた母。

私も仕事を続けながら、ヘルパーさんの力を借りて母を見守る日々を続けてきました。

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母と介護サービスの距離感

現在、週に4回ヘルパーさんが自宅に来て、食事の準備や掃除を手伝ってくれています。

ありがたい支援のおかげで、なんとか仕事と介護の両立ができていますが、本音を言えば、母にデイサービスやショートステイを利用してもらいたい気持ちもあります。

しかし、母はそれらのサービスをかたくなに拒否。
理由は「脚が悪いから転んだら怖い」というもの。

家の外に出ること自体を嫌がり、1日中ソファでテレビを見て過ごしています。
そんな母を見ていると、「母にとって何が正解なのだろう」と思い悩むこともしばしばです。

さらに、母の認知機能や身体機能が少しずつ低下していく中で、「どこまで在宅介護を続けられるのか」という疑問も日に日に重くなっていました。

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施設入所を考えたきっかけ

そんな私の気持ちに変化が訪れたのは、今年の春。

母が定期検査を受けた際に「軽度の低栄養状態」だとわかったのです。

もともと食が細かった母は、最近さらに食事量が減少していました。

この結果を受けて、「もしかして、もう在宅では限界なのでは…?」と思い始めました。

ただ、母は「施設に入ること=人生の終わり」と考えています。

説得するには、「栄養管理」や「リハビリ」を目的とした施設入居という選択肢が一番現実的だと思いました。

姉に相談すると、「施設入居は早すぎても遅すぎてもダメ。あなたが施設を考え始めた今が、そのタイミングなんじゃない?」と背中を押され、8月末、介護老人保健施設(老健)への入所申し込みをしました。

入居可能の連絡と揺れる気持ち

3カ月後の12月、施設から「入居可能です」と連絡がありました。

その間に起こった母の小さな事故――薬と間違えて入れ歯洗浄剤を口にしてしまったり、顔を強打したり(母本人は覚えていません)――を施設の看護師さんに伝えると、彼女たちは明るい笑顔でこう言いました。

「この年齢でここまで自分でできるのはすばらしいですね!」
「薬の量が少ないのもすごいことですよ!」
「うちの施設で、少しでも楽しんでもらえるといいですね」

その言葉と笑顔に、救われたような気がしました。

抑えきれない罪悪感

しかし、母が自ら施設入所を決めたわけではありません。

私が一存で進めたことです。

これが本当に母の幸せにつながるのかと、罪悪感を抱かずにはいられません。

同時に、母が施設で同世代の人たちと交流し、レクリエーションを通じて新しい楽しみを見つけてくれたら――そんな希望も心のどこかにあります。

認知症の母に、施設入所について事前に話したところで、理解してもらえるはずもなく、数分後には忘れてしまいます。

だから私は「入院が必要」と少しだけ嘘をついて準備を進めることにしています。

この嘘が罪悪感の火種となることもあります。

覚悟を持って前に進む

それでも、もう後戻りはできません。母が施設に入ることが決まった以上、私も覚悟を持たなければなりません。

施設側にはできること、できないことがあり、それを理解した上で、適度に任せることも必要です。

母が施設で安全に過ごし、少しでも安心して暮らせるように。

そして私自身が少し心を軽くするためにも、入居という選択が新しい一歩になることを願っています。

施設入居の罪悪感と向き合いながら、それでも前を向いて進んでいこうと思っています。

年内には、母が施設入居となる予定です。

 

コメント

  1. 白雪さくら より:

    そらはなさん、お疲れ様です。
    入所、決まりましたか。決まってよかったです、先行きが不透明だと不安になりますものね。
    そらはなさんが不安だと、お母様にも伝わってしまうでしょうし。
    施設を嫌がっている(であろう)お母様に、「嘘」をついて、「そらはなさんの一存」で話を進めてしまうことに対する罪悪感、第三者である白雪があれこれ言うわけにはいかないですが、
    そらはなさんがお母様の最善を求めて苦闘されたことは、ブログ読んでてとてもとても伝わってきました。
    人生、思い通りにはいかないものですよね。
    きっと、在宅なら在宅で、「これでよかったのだろうか」と悩むことになるかと思います。
    どっちにしても、やっぱり悩むし、罪悪感はあるんでしょうね。
    逆に、悩まない、これが最善、自分は正しい!!!と心から言えたとしたら、それはそれで問題があるような気がします。自分のことじゃないんだから。
    だから、そらはなさんが、そのように悩んで、罪悪感を感じて・・・ということ自体、とても貴重な、お母様思いの証拠だと思います。
    でも、お母様の人生、そらはなさんお一人が背負うものでも背負えるものでもありません。お母様もそらはなさんも、いろんな人に支えられて、いいんです。
    お母様は、なかなか他人に助けられることが苦手(そういうお年寄り、多いですよね)なようですが、ブログ読んでると、以前に比べると、徐々に、随分、丸くなったんじゃないかなあと勝手に感じています。
    低栄養の入院、うん、嘘じゃないですよ。そのようなものです、お母様にもわかりやすいし。
    そして、施設のスタッフさんの雰囲気がとてもいい、とそらはなさんが感じられたのが、一番です。そらはなさんが「ここなら」と思えることが一番。
    見捨てるわけじゃないんです。むしろ、見捨てないために、助けを求めるんです。これからも、そらはなさんは、お母様を支えていくんです。そしてそのそらはなさんをも、施設が支えてくれるんです。
    お母様も、そらはなさんの負担が軽くなることを、望んでおられるはずですもの。

    入所までまだ少しいろいろあるかと思いますが、そらはなさんもご自愛してくださいね。t

    • そらはな より:

      白雪さくらさんへ
      「見捨てないために助けを求めて入所する」という言葉が心に刺さりました。
      どこかで、自分の気持ちを整理しながら、ひとつひとつ、その時その時で最善を尽くせたらいいなと思っています。
      たとえ、後でそれが正しかったのか疑問に思っても、その時出した答えはその時には、正解だったと思いたいです。
      自分のことではなく、親のことを決めるのって、本当に判断が難しいです。

  2. さくらゆ より:

    私の母は78歳ですが、今年の夏頃から調子が悪く、デイサービスの利用を見据えて介護認定の申請をしているところです。私にとっても初めての事だらけですが、そらはなさんのブログを読んでいたおかげで、これまで少しずつ心の準備をしていたこと、もしそういう状態になったら、自分を一番大切に、まわりに助けを求めてやっていこうと考えていたこと…今の自分にできることを、できる範囲でやり始めたところです。
    とはいえ、まだまだうまくコントロールできないことも多く、平日は教員としてフルタイムの仕事、毎週土曜日に片道1時間の実家に通い、食事などの家事をして、日曜日は自分の家庭のことや持ち帰り仕事…が数カ月続いています。いろいろ工夫して介護生活もネタにして(笑)過ごせるくらいになりたいと思います。

    • そらはな より:

      さくらゆさんへ
      教師としてのフルタイム、そして実家へ1時間かけて通うこと、本当にほんとーに!頭が下がります。
      近くにいないからこそ、心配事は尽きないでしょう。
      でも、近くにいても心配事は尽きないものです。
      だから、さくらゆさんができることをやって、あとは介護のプロにお願いすればよいですよね。
      今は、介護保険制度ができて、良い時代になったと思います。
      私も、こうしてブログに書くことで自分の気持ちを整理できますから、さくらゆさんも「ネタ」として、生活を楽しめますように。

  3. ひろ より:

    そらはな様、ずーーーっと以前にコメントを書かせて頂いた者です。

    偶然にも、実母の老健入所が今月中と決まりました。
    私の母は一人暮らしを頑張ってくれていましたが、この数年、圧迫骨折による入院が重なり、今年は3回も入院。いまも入院中です。
    廃用症候群と診断がつき、病院の系列老健を紹介されました。

    生まれ年が同じそらはなさんと、こんなことまで偶然が重なり、思わずコメントさせて頂きました。色んなことを考え、悩み、ケアマネさんや病院の生活相談員さんに背中を押されました。

    これまで、一人で抱え込んでいた母のこと。
    こういう形で新しい一歩を踏み出せました。
    一緒に母を見守っていきましょうね!

    ガンバレ!娘たち!

    • そらはな より:

      ひろさんへ
      こんにちは(⁠≧⁠▽⁠≦⁠)
      「ガンバレ!娘たち!」というエール、うれしかったです。
      3度も入院されたとのことで、心配だったことでしょう。
      一人で抱えるには限界がありますよね。
      できることを一生懸命やって、介護のプロにもお願いして、そんなバランスを保てたらいいな、と最近思っています。