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【認知症】ある日突然始まる対人妄想

ある日突然・・・という言い方は、ちょっと間違っているかもしれません。
認知症の母の記憶力は、少しずつ徐々に失われていっているのですから、「突然」ではないはずです。

しかし、今回の母の突然の豹変ぶりに、驚くやら戸惑うやら。
そして、開き直って客観的に見つめたら、笑うしかなかった・・・というエピソードです。

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母は認知症

母が認知症だと確信したのは、父が急逝した直後のこと。
母のあまりにもおかしな言動に、最初は「夫に突然先立たれたのだから、しかたがないこと」だと思っていましたが、間もなく決定的な出来事が起こります。

それは、父の通帳の整理をする私に向かって、母が「お前は財産を狙う泥棒だ」と言い放ったこと。
当時、休みのたびに役所や銀行の手続きに奔走し、私自身も精神的にも肉体的にも辟易していた時に、母から浴びせられたこの言葉。

それは、私の心に深く深く刺さり、大きな傷となりました。

後に、それが認知症故の言動だったとわかっても、やはりやるせない気持ちは今でも消えていません。

それでも、私自身も認知症についていろいろ学び、接し方を習得したので、母とは今は穏やかに向き合えています。

昨年、父の七回忌を済ませました。
母は今も、自分の身の回りのことは自分でなんとかできています。

もちろん、毎日の出来事は記憶に残ることもなく、今、目の前で起きている瞬間が母のすべてです。
毎日、同じことの繰り返し。
危険がなければ、それで充分です。

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突然の対人妄想

その日、自宅に帰った私のところへ、母が興奮したようにやってきました。
支離滅裂な母の話を簡単にまとめると、以下の通り。

▪NさんとHさんが香典返しを持って訪ねてきた
▪Nさんから香典を請求されたので、財布の中から1万円を出した
▪明日の葬儀に参列するため、自分は美容院へ行ったが、帰ってくると冷蔵庫の中が荒らされていた
▪Nさんが冷蔵庫内を全部漁って、一番大きな肉の塊を持って行ってしまった
▪ヘルパーが仏壇で念仏をあげてくれたが、その見返りとして仏壇のお菓子を全部持って帰ってしまった

こんな話を延々と力説するのです。

さらに話は暴走し続けました。

▪明日は節分で父の命日である
▪風呂屋に行ったら、お坊さんがいたので、明日はよろしくお願いします、と頼んできた
▪お坊さんは朝の4時に家に来て、仏壇周辺を掃除してくれた
▪仏壇にあげるお膳の用意をするため、自分は自転車で市場まで買い物に行った
▪枝豆とお饅頭をお供えしたら、それをヘルパーが全部食べてしまった

さらに、さらに話は飛躍します。

▪風呂屋には一緒に〇子(←私の名前)も行って、〇子がお坊さんに挨拶した
▪〇子は、お坊さんと同級生だからよく覚えている

と、私に向かって、自分の娘(←私)のことを説明するのです。

最初は、母の話にイライラしていたのですが、こうもおかしな話が続くと、なんだか逆におもしろくなってきました。

母に向かって「私は誰?」と聞いてみると
「アンタは、ホウジョウメグミでしょ!」と言います。

「ホウジョウメグミって誰?」と聞いたら
「寺の坊さんでしょうよ!!」と母が呆れたように言い、「アンタはわかっているようで、なんにも知らないんだね!」と、怒られました(笑)。

さらに、母に「あなたの子どもの名前はなに?」と聞くと
「タケシとセイコ」と言います。
ちなみにタケシはすでに亡くなっている母の弟の名前で、セイコは母の長女、つまり私の姉なのですが、なんと私は存在しないことになっていました。

おもしろついでに「〇子(私の名前)は誰の子ども?」と聞いてみたら、「チヨさんの子どもだ!」と自信満々に答えます。
チヨさんって誰や?

母の話を途中で切り上げようとすると、「最後にもうひとつだけ!」と言って、再び饒舌に語る母。
適当に話をかわし、母の部屋を出ようとすると、母がしゃべりながら私の後をついてくる。

おかげで3時間も母の話に付き合うことになりました。

行動も変だった

母の妄想話からなんとか逃れることに成功し、母を寝せる方向に誘導したのですが、洗面所からいつまでたっても戻ってこない母。

見に行ってみると、なんと浴槽にお湯をためているではないですか!

母はもう5年以上も前から、二世帯住居である私の家の方でお風呂に入っているので、実家のお風呂場は開かずの間と化しています。
なのに、そこにお湯をためて、さらにお風呂場に敷くバスマットを探して、勝手口をウロウロしていました。

それもなんとか適当にごまかして、母を寝室に誘導したのですが、なんとそこから3時間!
深夜0時過ぎまで、母は部屋の中をウロウロし、喪服の準備のためタンスを何十回と開け閉めし続けたのですよ。

挙句の果てに、私の部屋にやってきて
「セイコ、坊さんには連絡してくれた?」
「隣のSさんが心配するから、ちゃんと話しておいて」
「明日は何時にお寺に行けばいいの?」
と、何度も確認しにきました。

ってか、私、セイコじゃないし。

母の一連の言動を夫と話しながら、2人で震えました。
今後どうなるんだろう・・・と。

母の妄想で私がとった行動

ところが、翌日は拍子抜けするくらい、母はいつもの母でした。

何も知らない、覚えていない、よって、話をすることもない、といういつもの母の表情です。
私に何か訴えることもなく、朝は定時に起きて、夜は定時に就寝しました。

しかし、母の妄想は今後もいつ起こってもおかしくない状況です。
そして、私が以前から考えていたこと。

それは、母が私のことをわからなくなった時点で、施設入居を検討しようと思っていたことです。

ケアマネさんに、母の妄想と言動を話したついでに、施設のことについても相談してきました。

すぐに入居はできないにしろ、複数の施設に同時に申し込みをしておくことは可能だそうで、母の場合はやはりグループホームが最適でしょう、とケアマネさんからアドバイスされました。
また、母の状態からして施設入居を決断するよい時期だと思う、とも。

今年は、いくつかの施設に問い合わせをして、実際に見学をしに行って、母が快適に過ごせる場所を探したいと思っています。

 

 

コメント

  1. 匿名 より:

    本当にお疲れさまです。
    適切な施設が見つかりますように。

  2. たむちゃん より:

    初めまして
    なはももさんのブログは 以前から 読ませて頂いています
    年代も同じ頃で 子供達の子育てもに 共感することが多くて 楽しみにしております
    さて お母様も 大変になってきましたね
    うちの実母(30年同居)の施設に入所する時の様子と重なります
    介護職でありながら 在宅のしんどさは 大変でしたが 時に落ち込んだり 疲弊することも多かったですが 明るく笑い飛ばすことで何とか乗り越えて行くことも出来て 
    はなももさんと同じく 私の名前が分からなくなった時が 施設にお世話になる 転機と考えていましたので
    右往左往しましたが
    とりあえず老健一年後
    その間に気になる特養を何ヶ所も見学 申し込みして 幸なことに一番希望していたユニット型の特養に空きが出て 即決しました
    今年で特養四年目となりました
    コロナでなかなか出会うことが出来ませんが
    スタッフの皆様に感謝する気持ちだけは 忘れず 今のシニアライフをエンジョイ(古い❗)してます
    長々なりましたが 書かずにはおれませんでした
    はなももさん 色んな方の知恵を参考にして 良い方向に進みます様に 願っております

    • そらはな より:

      たむちゃんさんへ♪
      コメントありがとうございます。
      体験談は、とても心強いです。
      私も、母の施設のことに関してはまるでわからず手探り状態です。
      また、母が少しでも調子が良いと、まだ施設なんて早いんじゃないか?という罪悪感に似た気持ちも出てきます。
      でも、今後状況が悪化することはあっても、回復することはないのが認知症なんですよね。
      とりあえず今できることは、少しでも多くの施設を見学して話を聞くこと。
      入所するしないは別としても、情報集めだけはしておきたいと思っています。

      ちなみに・・・
      「はなもも」もかわいいですが、「そらはな」です(#^^#)
      私も、シニアライフをエンジョイしたいと思います~!

      • たむちゃん より:

        ごめんなさい
        そらはなさん❗
        失礼しました

        また コメント しますねー

        • そらはな より:

          たむちゃんさんへ♪
          はい(#^^#)
          よろしくお願いします。

  3. 白雪さくら より:

    そらはなさん、またまたおひさしぶりのコメント失礼します、白雪です。
    なんか、今までになかった雰囲気&症状で、認知症の悪化なのか、それとも別の異常・病気なのか…、できれば専門医に診てもらえたらいいんでしょうけど、専門の病院となるとお母様の抵抗感とか待ち時間の長さとか、ちょっとハードル高そうですものね…
    ケアマネさんには相談されたとのことですし、かかりつけの主治医の先生にも伝えて、様子見つつ対応考えられるといいですね。
    さぞやびっくりされたと思います。また、次の日にはなんともなくなっても、「またこうなるかもしれない」という不安もあると思います。
    興奮状態で、深夜まで、3時間以上も…そらはなさんもお疲れ様でしたし、お母様も疲弊されたでしょうね(ご自覚なくても、心身には結構来てたりするみたいです。自覚ないから要注意なんですけどね)。
    そらはなさんのことを「寺の娘のホウジョウメグミ」だと言っても、見知らぬ人でも敵でもなく、安心して何でも話せる相手だと認識されてるよう(だからそらはなさんは大変なんですけど)なので、「そらはなさんのことがわからなくなった危機的状況」というわけではないのかな、という印象も受けました。
    親の介護をしてる知人が、親は自分のことを別人だと思ってるけど、それでも自分を信頼してくれてるからそれでいい、と言っていました。それとは他の知人は、認知症の親は自分を子どもとして認識して名前も忘れてないけどとにかく敵対的で、それが辛い、という人も。
    いきなり施設入所の前に、短期入所(ショートステイ)の利用も考えてみていいと思います。お泊り入所みたいなもので、一日離れられるので家族の負担が少しは減るし、施設利用に対する御本人のハードルも徐々に下げることができるんじゃないかと思います。
    何にしても、ご本人が納得できる形・ストーリーで行けるように、焦らず、ケアマネさんとじっくり相談して、お母様とそらはなさんにとっての最善になりますように。
    そらはなさんは今まで、お母様のために最善を尽くして来られましたもの。本当に、よくやって来られたと尊敬します。今回の対応だってお見事です&お疲れ様でした。
    どうぞご自愛くださいね。
    なんだか今年は季節が早すぎて、お母様も混乱されたのかもしれませんね。
    本当に今年、桜咲くの早すぎて、私もついていけませんもの…。花壇の準備とかまだ全然です

    • そらはな より:

      白雪さくらさんへ♪
      どうも(*^▽^*) 寺の娘、ホウジョウメグミです。
      認知症といっても、症状の現れかたは千差万別なんですね。
      白雪さくらさんのコメントを読んで、母は私のことは娘だと認識しなくても、安心して話せる「ホウジョウメグミ」であれば、それでいいのだ、という気持ちになってきました。
      姉にも相談しましたが、あまりの豹変ぶりに「脳梗塞とかじゃないの?」と心配するほど。
      でも、母の言動がおかしかったのはこの日1日だけで、それ以降はいつも通りの母なのですよ。
      だから今、施設の検討もなんだか宙ぶらりんな感じになっています。
      とはいえ、再び何かあってから動いても遅いでしょうから、転ばぬ先の杖的に、先回りしていろんなことを考えておかなければなりませんね。
      いつもためになるアドバイス、ありがとうございます(^^)/

      • 白雪さくら より:

        いつも長々とすみません^^;
        こちらこそ、返信ありがとうございます。

        とりあえずその後はいつもどおりということで、いろいろ情報集めたりして「ここにこんな施設がある」とか、「こういうサービスがある」とか、「ここに相談できる」とか、そういうの知っておくだけでいいと思います。
        ここ数年で、いろいろ新しいのできたりしてますからね。
        お母様もう長年自宅で暮らしてのご高齢だし、なるべく穏やかにいままで通りの暮らしができれば、一番いいんでしょうけど、状況次第ですものね。
        そらはなさんに無理な負担かけてまでそうするのは、お母様の本意ではないだろうと思います。
        そらはなさんもお母様も、(お母様は特に)、施設に対する心理的な抵抗感とか、おありだと思いますが、グループホームに日中だけ通所できるデイサービスも充実してます。
        足腰の悪い人向けのリハビリに特化してるとことか、温泉引いててお風呂が売りのところとか、お庭がきれいで園芸療法ができるところとか、特色あるところが増えて、昔の一律で退屈なイメージとはだいぶ変わっています。
        食事なし・お風呂なし、半日だけ足腰のリハビリ中心、という施設もあったりします。
        ご高齢ですし生活リズムや環境の変化への不安はあると思いますが、施設入所だけじゃなく、まずは通所も視野にいれていいんじゃないかなと思います。
        なんにしても、お母様が気分よく行けて、そらはなさんも安心して送り出せることが一番です。
        同じように地域で介護している家族の話を聞いたりできる機会もあればいいですね。「認知症の人と家族の会」のつどいとかもあります。
        まずは、そらはなさんご自身が元気なことが一番です。
        ご自愛くださいね❤

  4. でぶねこ より:

    おひさしぶりです、でぶねこです^^

    お母さまの突然ではないにしろ、妄想話、驚きますよね。
    娘の顔と名前がわからなくなった時点で施設というのも、私も同感です。
    私の義母も、まったく同じ状態で、ずいぶん前から夜中まで箪笥の引き出しを何十回と開け閉めし、「バックがない、大事なものを持って外に出て、忘れてしまった」と毎日毎日何十回と繰り返しています。

    そらはなさんと違うのは、日中はデイサービスに週4日行っていることと、最近はショートステイも利用し、お互いに距離を置くことでなんとか乗り切っていることでしょうか。
    ただ、ここのところは認知症もゆっくりと進行していて、施設のことも視野に入れています。でも、お金もかかることなので、慎重になっています。何年施設でお世話になるかわかりませんし、実際、叔母は10年以上施設でお世話になっていましたので、迷うところです。
    今後、そらはなさんがどうされるか気になりますが、お互いにまずは自分を大切にしないといけないことは確かですよね^^;

  5. でぶねこ より:

    昨日コメントしたばかりですが、でぶねこです^^;

    昨晩、いろいろありまして、主人も私ももう限界かなという判断に至りました。
    さっそく今日、施設を探して見学し、グループホームの空きを待つということになりました。
    グループホームは10人以下の施設で、空きを待っている人は現在7名。
    入居費用は家賃月額39000円、光熱費月額13000円、食費一日1300円、日用品一日100円、基本利用料月額25000円、合計月額119000円でした。
    そのグループホームは今通っている病院と併設されていて、デイサービスや有料老人ホーム、ショートステイや特別養護老人ホームなどもあり、選択肢も多いのが魅力。

    あとは義母がどう思うのかは実際に行ってみないことにはわからないと思います。
    おそらくはもうわからないだろうなあというのが、私たちの見解です。

    そらはなさんもいろいろ悩まれていることかと思います。
    情報を集めて、自分たちの納得する形で準備をしておくことが大切かなと思います。
    お互い、同じ認知症患者を持つ家族として、応援しています。

    • そらはな より:

      でぶねこさんへ♪
      グループホームの詳しい情報、ありがとうございます。
      実は、私はその後、まだ施設への連絡はしていません。
      姉とも相談して、今のうちに情報集めて見学して、よさそうなところへ予約しておこう・・・ということになったのですが、母があの日以来、まーったく平穏なのですよ。
      なので、気が進まないというか、この決断はこれでいいのだろうか?と自問自答を繰り返しています。
      でも、いつまでも現状維持ができるわけではないということは、わかっているので、やはりそろそろ動かなければならないと感じています。
      こちらのグループホームの入居にかかる費用も、11~13万円くらいでした。
      子どもは、先のことがある程度予測できますが、高齢でしかも認知症だと、症状の現れ方は個人差が大きいので、まったく予想がつかない。
      だから施設入居の決断もためらってしまいます。
      でぶねこさんは、実母ではなくお義母さんなんですよね。
      だんな様と協力していろいろやっていて、すばらしいです。
      準備・・・大事ですよね。
      私も、がんばります。