子どもが独立し、両親もいなくなったあと、二世帯住宅は思った以上に持て余すようになりました。
使われない部屋と、手が回らない掃除。
私たちは60歳を前に、その家を“ちょうどいい形”に戻すことを選びました。
仮住まいで過ごした4か月
減築リノベーションをすることになり、仮住まいのアパート暮らしは、思っていたより快適で、思っていた以上に不便でした。
最後まで慣れなかったのが、あのトイレ。
少し前かがむとドアに頭をぶつけるほどの狭さで、入る前には毎回、なぜか深呼吸をしていました。
修行の入口のようなドアを、そっと開ける毎日。
浴室もやっぱり狭くて寒くて、好きな入浴剤を持ち込んでも、お湯はすぐ冷めてしまう。
「今日は湯船につかるぞ」と意気込んでも、3分後には「シャワーでいいか」となる自分の優柔不断さ。
夫は時々、一人でお湯を張って入っていたようですが。
例年の3倍の雪
極めつけは、例年の3倍という大雪でした。
アパートの駐車場では車がスタックし、仕事に遅刻しそうになること2回。
アパートへ続く小路は除雪車も来ず、まるでモトクロスのような悪路。
このとき、生まれて初めて市役所に電話をかけました。
「除雪専用ダイヤル」というものがあることも、そのとき初めて知りました。
完成した家に立った瞬間
そんな厳しい冬の日々も、過ぎてしまえばあっという間。
先日、ついに自宅が完成し、施主内覧の日を迎えました。
玄関に足を踏み入れた瞬間、これまでのすべてが静かに整っていくような気がしました。
床の色、壁紙、収納、動線。
ひとつひとつ選んできたものが、ようやく“家”という形になっていました。
「子どもが戻ってくるわけでもないのに、どうしてリノベーションを?」
そう聞かれたとき、ふと気づいたことがあります。
——この家は、私たち夫婦がこれから年を重ねていくための場所なんだ、と。

誰のためでもなく、自分たちのために整えた家。
漠然とした思いが、確信に変わりました。
“楽に暮らせること”へのこだわり
おしゃれさよりも暖かさ。
飾りよりも、掃除のしやすいシンプルな建具。
手間と時間を減らすための、少しだけグレードアップした設備。
たくさん考えて、迷って、決めて。
その繰り返しに気力も体力も奪われたけれど、仕上がった床や壁紙、アクセントクロスや窓枠が想像以上に可愛くて、思わず「めっちゃ、かわいい!」と小さくつぶやきました。
春の光の中で
カーテンを選んで、家具を選んで。
まだまだ迷って決めての繰り返しだけれど、その時間さえも、今はとても愛おしい。
寒かった冬が終わり、春の暖かさが感じられる今日。
季節が変わるように、私たちの暮らしも静かに動き出しています。
昨年の夏の自分に、ひとつだけ言いたいことがあります。
思い立って、すぐに動いてくれてありがとう。

むぎちゃんももうすぐお引越し
すべてはこの日から始まった⬇️


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