「60歳なんて、まだまだ先のこと」
ずっと、そう思っていました。
ところが今年、かんぽ生命から60万円の保険金が振り込まれた瞬間、
「ああ、私、本当に60歳になったんだ」
と、胸の奥で静かに何かが動きました。
40代の頃は“まだ先”だと思っていた節目が、気づけばもう目の前に来ていました。
時間の流れは、想像以上に静かで、そして容赦ないものです。
思いがけないお金がもたらす、ちょっとした高揚感
夫も同じ保険に加入していたため、わが家には一度に120万円が振り込まれました。
家計の中で「貯蓄」として意識していなかったお金。
だからこそ、どこか“ふってわいた臨時収入”のように感じられ、思わずうれしくなってしまったのも正直なところです。
40〜50代は、子どもの独立、親の介護、仕事の変化など、心もお金も落ち着かない時期が続きました。
だからこそ、60歳で受け取ったこのお金は、
「少し肩の力を抜いていいよ」
そう言われたような気がしたのです。
「使っていいお金」があるだけで、心は軽くなる
この保険は、60歳から5年ごとに4回、60万円が支払われる仕組みです。
(夫婦2人では120万円×4回)
・60万円 × 4回 = 240万円(2人で480万円)
・年間にすると 12万円(24万円)
・月にすれば 1万円(2万円)
※( )内は夫婦2人分
決して大金ではありません。
でも、「これは使っていい」と最初から決まっているお金は、不思議と心に余裕をもたらしてくれます。
加入した当時は、
「退職したら、夫婦で旅行に行けたらいいな」
そんな夢を描いていました。
今は、リノベーションも重なり、
「大型家電の買い替えに使おうかな」
「暮らしを整えるための費用に回すのも悪くない」
そんな、より現実的な使い道が浮かんできます。
数字だけ見れば元本割れ。それでも後悔していない理由
この保険は「特別終身保険 新ながいきくん」。

15年前に、一人あたり約250万円を一括で支払いました。
生存給付金は240万円。
数字だけ見れば、元本割れです。
ただし、死亡保障60万円がついているため、最終的な受取総額は300万円。
250万円が300万円になる。
差額は50万円です。
当時の定期預金金利は、年0.1%ほどでしたから、250万円を15年間預けても、利息は約3万7,500円でした。
それを思えば、当時の自分なりに考え抜いた選択だったと思えます。
死亡保障のお金は、うれしいようで、少し切ない
とはいえ、死亡保障の60万円は、
「自分が亡くなってから」受け取れるお金。
葬儀費用としても十分とは言えず、家族の負担を大きく減らせる金額でもありません。
あの頃は「少しでもお得に」と思っていましたが、60歳になった今は、その数字の現実が、よりはっきりと見えてきます。
保険と投資、どちらが正解だったのか
この保険に入った数年後、投資信託の積立を始めました。
10年以上続けた今、300万円が450万円ほどになる勢いです。
「もっと早く投資を始めていれば…」
そんな思いがよぎることもあります。
でも、それは“今だから言えること”。
40代の頃の私は、投資の知識も、値動きを受け止める覚悟もありませんでした。
だからこそ、あの時の私にとって、この保険は“精一杯の安心”だったのだと思います。
投資には、投資ならではの悩みがある
投資信託は、毎日価格が変動します。
増えているのに、「もっと増えるかもしれない」と思ってしまい、なかなか解約できない。
結果として、
「増えているのに使えないお金」
になってしまうこともあります。
その点、かんぽ生命の保険はとてもシンプル。
決まった時期に、決まった金額が、必ず振り込まれる。
この“確実さ”は、60歳の今の私にとって、とても心地よいものでした。
お金には、それぞれ役割がある
お金には、
・増やすお金
・使うお金
・守るお金
それぞれの役割があります。
かんぽ生命の保険は、貯蓄商品としては決して優秀ではありませんでした。
それでも、
「あの頃の私には、これがベストだった」
今はそう、穏やかに振り返ることができます。
お金の選択も、人生の選択も、その時の自分が選んだ“最善”。
60歳で受け取った60万円は、これからの暮らしを考える、静かなきっかけになりました。



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