病気や怪我に備える医療保険の加入は、いわば人生の賭けのようなものです。
万が一に備えるのはいいけれど、あれもこれも入っていたらキリがない。
そんな私。
民間の医療保険は必要ないという考えで、若いころは加入していませんでした。
しかし、今は加入しています。
それは、家計に負担のない月々2,000円の掛け金のものです。
保険よりも貯蓄
「保険に入るより、そのお金を貯蓄しなさい」
社会人になってまだ右も左もわからなかった私に、母はよくこう言っていました。
周囲の人たちは、社会人の身だしなみ?として生命保険や医療保険に加入しています。
本当に保険は必要ないのかな。
万が一何かあったらどうするんだろう。
そんな不安がなかったわけでもありませんが、母は繰り返し言いました。
「人間、簡単には死なないし、そうそう入院したりすることなんてない」と。
それらを鵜呑みにしたわけではありませんが、結局私は保険のセールスレディーに踊らされることなく、生命保険や医療保険には加入しませんでした。
その後結婚しても、自分自身の医療保険には入りませんでした。
理由は、高額療養費制度があることを知ったからです。
高額療養費制度
医療機関や薬局の窓口で支払ったお金が、暦月(1日から末日まで)で一定額を超えると、その分が戻ってくる制度が高額療養費制度です。
自己負担額は、年齢や所得によりちがってきます。
69歳以下の場合は5段階に分けられています。
適用区分 | ひと月の上限額(世帯ごと) |
1.年収約1,160万円~ 健保:標報83万円以上 国保:旧ただし書き所得901万円超 |
252,600円+(医療費-842,000)×1% |
2.年収約770~約1,160万円 健保:標報53万~79万円 国保:旧ただし書き所得600万~901万円 |
167,400円+(医療費-558,000)×1% |
3.年収約370~約770万円 健保:標報28万~50万円 国保:旧ただし書き所得210万~600万円 |
80,100円+(医療費-267,000)×1% |
4.~年収約370万円 健保:標報26万円以下 国保:旧ただし書き所得210万円以下 |
57,600円 |
5.住民税非課税者 | 35,400円 |
注 1つの医療機関等での自己負担(院外処方代を含みます。)では上限額を超えないときでも、同
じ月の別の医療機関等での自己負担(69歳以下の場合は2万1千円以上であることが必要です。)
を合算することができます。この合算額が上限額を超えれば、高額療養費の支給対象となります。
例えば適用区分は3の私の場合(健康保険:標準報酬月額28万~50万円)、ひと月の医療費が100万円かかったとします。
しかし、健康保険で窓口で支払う自己負担は3割なので、30万円です。
1カ月に30万円の医療費って、大変!と思いますが、これが高額療養費制度を利用すれば、
80,100円+(医療費1000,000円-267,000円)×1%=87,430円
となります。
事前に医療保険から認定書を発行してもらう手続きをすると、医療費が100万円かかっても、実際に病院に支払うお金は9万円弱で済むのです。
もちろん、高額療養費制度は健康保険が適用されるものが対象なので、食事代や差額ベッド代などは別途請求されますが、100万円かかる医療費の1割程度で済むと思えば、大変ありがたい制度です。
健康保険という保険
サラリーマンの場合は、健康保険料が毎月給料から天引きされ、健康保険証が渡されます。
つまり、すでに健康保険という保険に加入していることになるので、基本的に医療費は3割負担で済みます。
幸い、持病のない夫と私。
私が定期的に歯医者へ行くくらいなので、我が家の医療費は年間5万円以下です。
また、結婚してから夫と私の入院歴は、夫1回、私0回。
数年前に外傷性気胸と肋骨骨折で入院した夫ですが、医療費は高額療養費制度のおかげで、窓口負担は約9万円で済みました。
さらに、加入していた県民共済の保険金が6万円おりてきたので、実質自己負担は3万円程度で済みました。
夫の保険履歴
実は、夫は独身時代に保険のセールスレディーにすすめられるがままに、生命保険+医療保険に加入し、結婚当初は毎月約3万円近い保険料を支払っていました。
その後、約20年間保険料を納めたので(途中、保険料を減らしていますが)
3万円×12か月×20年=720万円
しかし、この間入院したことは一度もありませんし、今でも生きます(笑)。
幸いなことに、万が一に備えて加入した保険の恩恵は、一度も受けませんでした。
十数年前の夫の転職を機に、この生命保険+医療保険は解約しました。
一部の終身保険のみ払込み済として残したので、夫が死亡時は葬式代くらいはまかなえる保険金がおります。
その時の解約金で、貯蓄型の特別終身保険に加入しました。
そして、新たに加入したのが県民共済。
月々2,000円の掛け捨てです。
この県民共済に加入して4か月後に、夫は外傷性気胸で入院したわけですが、ちゃんと保険金がおりてきました。
貯蓄があれば保険は必要ない
ある程度まとまった貯蓄があれば医療保険は必要ないという考えは、今だから言えることですが、若いころは貯蓄もなければ、将来への不安もあり、やっぱり万が一に備えて・・・と考えるのは当然です。
しかし、毎月給料からひかれている健康保険料や、高額療養費制度のことをきちんと理解していれば、無駄に民間の医療保険に加入する必要もなくなりますし、もっとコンパクトな保険に加入することもできます。
あとは、自分の家系が脳卒中や高血圧などで亡くなった人が多いとか、自分の親は健康なのか否かを考慮して、医療保険は必要かどうか判断することも大事です。
幸い、夫も私もこれまで時に大きな病気にかかることなく、気が付けば50代後半。
「まとまった貯蓄ができるようになれば、医療保険は必要ない」という考えは、今でも、いや、むしろ今のほうが強く思います。
しかし、保険は必要ないという考えの私も、数年前に月額保険料2,000円の県民共済に加入しました。
日本の医療制度は、私たちを手厚くサポートしてくれていますが、加齢とともに健康状態には不安も出てきます。
医療保険は、自分の健康状態と貯蓄の中から医療費としてどれくらい回せるかを考慮して、加入内容を見直ししていかなければならないと思っています。
保険でまかなえないものは貯蓄でカバーする
ところで、医療保険や高額療養費制度でカバーできないもの。
それは、入院時に個室に入りたいとか、入院に伴ってかかる雑費など。
それらを民間の保険でカバーするという考え方もありますが、私は必要ないと思っています。
いつ病気になっていつ入院するかわからないものに、保険という掛け金を収めるよりも、医療費用として貯金をしておけばよいと思うからです。
医療保険と貯蓄のバランスは、夫婦の年代や家族構成によって変化していくものですから、なんとなくそのままずるずると保険に入っているということはせず、その都度見直ししていく必要があります。
さて、昨年3番目の娘が社会人となりましたが、我が家はこのまま家計に負担のない掛け捨ての県民共済を継続していこうと思っています。
次の見直しは、還暦の時かな。
*この記事は、旧ブログで2015年に書いたものを、加筆修正しました。
コメント
医療保険のお話し本当に同感です!社会人になった時身内から勧められましたが特に加入せず。結婚した時に夫も姑も県民共済だったので、私も同じく加入。舅は癌で亡くなっていて、姑は高額医療制度等詳しく、心配せずお金は子供の養育費貯蓄に回しました。最近、私の同級生達は医療費のことも勿論ですが、葬儀費用(自分の?)の心配までして保険の蘊蓄をのたまっています。私は姑を見送ったのですが、小さな御葬式でお願いして心配のない身の丈にあった葬儀でしたよ。子供の教育費は惜しみなく使え本人の望む職業につくこともできました。お金の遣り繰りはまだ続けてますが、夫婦共に何とか健康に過ごせてるのが幸いかと思います。
akanekoazuさんへ♪
「子供の教育費は惜しみなく使え」・・・ってところがカッコいいです(#^^#)
本当に、健康がなによりの資産なんですよね。
そして、人と比べず身の丈に合った暮らし方というのも、とっても大切ですね。
そらはなさんこんにちは。
初めてメールします。
もうすぐ40になりますが、10年くらい前からブログ拝見しています。
医療保険私も解約しようかまよっています。夫が先進医療が必要だと話すので解約に踏み切れないでいます。
アドバイスいただけたら嬉しいです。
3人のお子さんの進学をしっかり金銭的にも応援されていて、素晴らしいなと思って見ていました。
息子も来年高校受験なので、私も色々と見習いがんばります\(^o^)/
りりさんへ♪
こんにちは(#^^#)
以前よりブログに遊びにきていただき、ありがとうございます。
保険に関しては、私はただの素人なので、なんのアドバイスもできません(T_T)
ただし、解約とか契約内容を変更する時期としては、やはり家族の形態が(進学や独立などで)変わった時だと思います。
あとは、保険料が家計にとって負担か否かですよね。
貯蓄と保険のバランスって難しいですが、最終的にはご自身で決断するしかないのだと思っています。
息子さん、いよいよ高校受験ですか。
怒涛の教育費の捻出が始まりますね~(脅しているわけではありません)
未来のある子どもたちの希望は、親として叶えてあげたいですもんね。
どうかがんばってください!(^^)!