グループホームで暮らす認知症の母との面会|安心をつなぐ時間

グループホームで暮らす母に面会に行ってきました。
私の顔を見るなり、母は一瞬困ったような表情をします。

――私が誰だかわからないのです。

しかし母はすぐに笑顔を浮かべて「どちらさまですか?」と尋ねます。
それは本当にわからなくて聞いているというよりも、「ちゃんとわかっているけれど、久しぶりだからわざとそう言っているのよ」とでもいうような響きを含んでいます。

私が名前を名乗ると、母はにこやかに「よく来たね、ありがとう」と返してくれます。

その後はお決まりのように、子どもや孫の名前を一人ひとり挙げていきます。
記憶が少しずつ薄れていく中で、その名前だけは毎日繰り返し、必死に手放さないようにしているのだと思います。

「お墓参りしてきたよ」と伝えると…

面会のとき、私は母にこう伝えました。
「お墓参りしてきたよ。お花も供えてきたし、お寺に行ってお布施も渡してきたよ」

すると母は心から安心した表情を見せ、「ありがとう、ありがとう、よかったわ」と繰り返しました。

ほんの数年前までは、お盆が近づくたびに母自身が「お墓参りは絶対に行かなくては」「お花やお布施の準備はしたの?」と何度も確認してきたものです。
その強い思いが、今は「ありがとう」という言葉に凝縮されているのでしょう。

私は母の気持ちを思い、こう付け加えました。

「お母さんは足が痛いから、転んだら大変だよ。だから無理して行かなくてもいいんだよ。お墓参りはちゃんと私が行ってきたから大丈夫」

母はほっとしたように「そうなのよ、転んだら大変だものね。行かないほうがいいのよね」と答えました。

母と一緒にお墓参りへ行かなくなって、もう三年が経ちます。
けれど私は思います。

どこにいても父を想い出すこと、それ自体が立派な供養なのだと。

面会時に伝えると喜ぶこと

認知症が進むと会話が続かないこともありますが、母が喜んでくれる話題はいくつかあります。

■孫や家族の名前を伝える

「○○が元気にしてるよ」と報告すると安心する。

■お墓参りや供養の報告

「代わりに行ってきたよ」と伝えるだけで心が落ち着く。

■季節の出来事を話す

「桜が咲いたよ」「今日はセミが鳴いてるよ」など身近な自然や行事は会話のきっかけになる。

■昔の思い出を呼びかける

懐かしい旅行や出来事、地名を語ると「覚えているよ」と笑顔が見られることも。(これが一番かも)

■感謝の言葉を伝える

「ありがとう」と言うと、必ず「こちらこそありがとう」と返してくれる。

こうした話題は、安心感を与えると同時に、家族の絆を改めて感じさせてくれます。

面会は、母のためでもあり私自身の供養の時間

母に会うたびに、記憶の扉は少しずつ閉じていくのを感じます。
けれど、その奥には確かに父と過ごした日々や、家族の絆が残っている。

この日も、父のことを尋ねると「お墓の中で遊んでるよ!」と答えていました。(笑)

私は母に会いに行くことで、その記憶の小さな灯を一緒に見つめ直しているのだと思います。

父を想い、母と過ごすひととき。

それは、母にとっても、そして私にとっても――大切な供養の時間となっています。

 

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コメント

  1. さくらゆ より:

    母が元気で子ども達が小さかった頃、お盆は親族で楽しく集い、心穏やかにお墓参りをする季節でした。今年は、母の介護に私一人で通うお盆。いつもは週末のみですが、平日にお願いしている弟や叔母が仕事のため、今週は1日おきの通い。実家での滞在時間が長くなるほど、母とのやりとりに行き詰まり辛くなりますが、「今はこういう時期なのだ」と、道中の車で自分に言い聞かせています。 母との会話の内容は、どうしても母の体のことや心のもちように偏ってしまいます。母が喜ぶ話題にも触れなくては…と改めて感じました。そうですよね。お墓参りはできる時に。今月末には息子に会いに私も上京します。少し先に楽しい計画を設定しながら、今度も乗り切っていきたいです。自分の心と体を守るために。そらはなさんのブログを見て、象印食堂を予約してしまいました(笑)そしてタイムリーなことに、来月主人が出張で松本に行きます!素敵な情報ありがとうございました♪

    • そらはな より:

      さくらゆさんへ
      お盆の過ごし方も、年齢と共に変わっていきますね。
      いつの間にか、帰省する側から、迎える側へ、そして今年は初めて「家に不在のお盆」を過ごしました。
      さくらゆさんも、もうすぐ東京旅ですね。
      象印食堂!!予約できたのですね。
      日頃の介護から解放されて、ぜひ!満喫してください!