晴耕雨捨の暮らしが終わって|実家の片付けを終えた60歳の休日

「晴耕雨読」をもじって、「晴耕雨捨」。
この数年、私はひそかにこの言葉を、自分の暮らしの合言葉にしてきました。

晴れた日は庭に出て土に触れ、雨の日は家の中で黙々とモノを手放す。

そんな二本柱が、私の暮らしを支えていました。

6年間の実家の片付けで見たもの

雨の日には、庭仕事の代わりに「実家の片付け」に向き合ってきました。

やればやるほど、出てくる、出てくる。

押し入れには贈答品のタオルやシーツが箱のまま山積み。

2階の納戸には、祖父母の代からと思われるタンスが6台。
中には大量の着物、巻物、掛け軸。

そして、ある日。
掛け軸の底から刀が出てきたときには、思わず固まりました。

掛け軸に紛れていた刀!

「これって銃刀法違反?」
そんな考えが頭をよぎりながらも、おもしろがっている自分もいました。

さらに、料亭でも開けそうなほどのたくさんの脚付き御膳。

▲なぜこんなに脚付き御膳が???

 

何十年も眠っていた雛人形(おそらく祖母のもの)。

処分するまで時間がかかった雛人形

 

父が趣味で描いた水彩画と、立派すぎる額縁の山。

▲父が描いた水彩画

 

和室にはガラスケースに入った日本人形たち。

人形を前に途方に暮れる

 

キッチンの吊戸棚には、鍋と皿が地層のように積み重なっていました。

父が遺した大量の書籍は、何度「見なかったこと」にしたかわかりません。

途方に暮れては投げ出し、また思い出したように再開し、気づけば6年が過ぎていました。

忙しさは、私の「居場所」だったのかもしれない

子育てが終わり、3人の子どもたちが家を出たとき、急に、自分の時間ができました。

最初は身体が楽でうれしかったのですが、次第に「何をしていいのかわからない」時間が増えていきました。

そんな空白を埋めるように始めた庭仕事は、雑草だらけだった土地が整っていくにつれ、いつの間にか「私の趣味」と呼べるものになりました。

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そして雨の日や冬の間に、私は「実家の片付け」を当てはめたのだと思います。

子育て中と同じように、「私は忙しい。」
そう思うことで、自分の居場所を確かめていたのかもしれません。

宙ぶらりんのアパート暮らし

そして今。
家はリノベーション中で、私は仮住まいのアパートで暮らしています。

必要最小限のものだけを持ち込んだ部屋は、掃除も洗濯も、あっという間に終わります。
借り物の空間だから、どこか本気になれない自分もいます。

狭いキッチンでは手の込んだ料理をする気も起きない。
ゲームをしても、1時間もすると疲れてしまう。

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冬の間続けていたサニーレタスの水耕栽培も、道具は車庫に置いたまま。

新しい暮らしを思い描こうとしても、肝心の家がまだ完成していないから、購買意欲もわかない。

友人とランチに行こうにも、寒くて気乗りしない。

時間だけが、静かに余っていきます。

「晴耕雨捨」は終わっていた

最近、ふと気づいたのです。

これからの私の人生に、実家の片付というひとつの柱は、もうないのだと。

捨てまくった実家のモノ!

6年間、私の生活の中心にあった「やるべきこと」は、すでに終わっていたのです。

忙しさという名の居場所はないのに、新しい暮らしはまだ始まらない。

私は今、宙ぶらりんの冬を過ごしています。

本当の「晴耕雨読」へ

これからの私は、親のモノに心を引っ張られることもなく、庭仕事も、読書も、暮らしを整えることも、すべてを“自分のため”に選べます。

春になれば、そんな日がやってきます。

そうか。
私の暮らしは、ここからようやく本当の「晴耕雨読」が始まるのだ。

なんだか、急にワクワクしてきて、急に武者震いしています(笑)。

 

 

 

 

 

 

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