友人たちが口をそろえて
「とてもよかったよ」
とすすめてくれた映画『国宝』。
年末、ようやく観に行ったその作品は、思っていた以上に深く胸に沁みました。
人生の折り返し地点を過ぎた今だからこそ、物語の光と影が、自分の歩んできた時間と重なって見えたのかもしれません。
3時間の超大作
上映時間は3時間。
正直なところ、少し身構えていました。
水分を控えていたおかげでトイレは大丈夫だったものの、後半は座りっぱなしで膝が痛くなったほどです(笑)。
それでも、気づけばあっという間。
長さを感じさせないほど、物語の世界に深く没入していました。
語りたいことはたくさんありますが、キリがないので、ここでは私の心に特に残ったテーマについて書いてみます。
※ネタバレはありません。
人生は、努力だけでは選べない部分がある

映画を観ながら、あらためて思いました。
人生には、自分の努力で選べる部分もあるけれど、それだけではどうにもならない領域も、確かに存在するのだと。
うまくいっているように見える人の人生にも、影はそっと寄り添っています。
そして、その立場は、いつ入れ替わるかわからない。
光のすぐ隣に影があることを、この映画は大げさに語ることなく、当たり前のこととして静かに描いていました。
「評価」と「人生」は、同じ時間を生きていない
作中で、特に強く感じたのは人の評価というものの、あやうさでした。
人は、成功している姿やわかりやすい肩書きだけを覚えていて、そこに至るまでの苦しさや、立ち止まっていた時間のことは、驚くほど簡単に忘れてしまう。
人生は連続しているのに、記憶は都合よく切り取られる。
評価と人生は、同じ時間を生きていない。
その事実が、静かに胸に残りました。
肩書きがあっても、人は最後まで一人の人間
「国宝」という言葉から、華やかさや、守られた存在を想像する人は少なくないと思います。
けれどこの映画は、称号があっても、人は最後まで一人の人間なのだという現実を淡々と示してきます。
どれだけ名を残しても、老いや孤独から逃れられるわけではない。
ただ、その姿は決して悲劇的には描かれず、だからこそ現実味をもって胸に迫ってきました。
美しいものを「きれいだ」と思える心
映画を観ながら、ふと心に残ったのは「きれいだな」と感じる感覚でした。
それは、成功のきらめきとは少し違う、時間や心の痛みを重ねた人だからこそ見える美しさのように思えました。
人生には、思い通りにならないことがたくさんあります。
それでも、美しいものを美しいと感じられる心を失わずにいられるかどうか。
この映画は、そんな問いをそっと差し出してきます。
人生とは、こんなもの
観終わって最初に浮かんだのは、
とてもシンプルな思いでした。
「人生とは、こんなもの。」
努力だけでは抗えないこともある。
誠実に生きていても、報われない時期は、誰にでも訪れる。
それでも――どんな時も、腐らずに生きていきたい。
評価されなくなっても、忘れ去られても、自分まで自分を裏切らずに。
そんなふうに思わせてくれた映画でした。
観終わったあと、自分の人生を静かに見つめ直したくなる。
この歳だからこそ感じた、人生の重さと、静かな余韻が残りました。
良い映画でした!


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