「どうせ寂れた温泉街?」60歳夫婦が男鹿温泉郷で反省した理由

「どうせ寂れた温泉街でしょう?」
実は、ずっとそう思っていました。
同じ県内に住んでいながら、一度も行こうと思わなかった男鹿温泉郷。

ところが今回、ひょんなきっかけで訪れることになり、帰る頃にはその思い込みをそっと反省していました。

きっかけは、5,000円の宿泊補助

2月下旬、男鹿市の宿泊補助を利用しました。
正直、この後押しがなければ行かなかったと思います。

自宅は減築リノベーションの真っ最中。
仮住まいのアパートでは毎日シャワーだけ。
「少なくとも今の我が家のお風呂よりはマシだよね?」
そんな気持ちで選んだのが、「結いの宿 別邸 つばき」でした。

想像どおりの“寂れた温泉街”…のはずが

チェックイン前に、車で温泉街をひと回り。
小さな温泉街なので、5分もあれば十分です。

廃業したホテル。
蔦の絡まるスナックの看板。
想像以上に寂れていて、人の気配はほとんどありません。

最上階の窓が開いている廃墟を見つけて、思わず「怖っ…」と声が出ました。

「やっぱりね」
心のどこかで、そう思ったのも事実です。

本当に営業している?

宿に着くと、広い駐車場に車は1台だけ。
「本当に営業してる…?」
車を降りるのをためらった、その瞬間。
スタッフの方が満面の笑顔でお出迎え。

無線で「〇〇様、ご到着です」と連絡する姿に、あれ? なんだかちゃんとしてる。
一気に緊張がほどけました。

なまはげもお出迎え

リノベーションされた館内は明るく、清潔で、きちんと整えられています。
ラウンジでは暖炉がパチパチと音を立て、あちこちに置かれたストーブがやさしく空間を温めています。

「ああ、ここを選んでよかった」
自然とそう思えました。

ビュッフェじゃない幸せ

最近の宿泊は、ビュッフェ形式の宿が多かったのですが、実は私は少し苦手です。
取りに行って、並んで、なんとなくせかせかする。
若い頃は楽しかったのですが、今は量より質です。

だからこそ、別邸つばきの会席料理は最高でした。

これはなに?お品書きと見比べながら食べる楽しさ

一品一品、丁寧に作られた料理が
絶妙なタイミングで運ばれてきます。

 

美しいお刺身!味ももちろん最高!

私はただ座っているだけ。
主婦にとって、これほどの贅沢はありません。

 

濃厚な黒梅酒のロック

ふだんお酒を飲まない私も、この日ばかりは黒梅酒をロックで少しだけ。
お酒大好きな夫は、ラウンジですでにハイボールを一缶空け、食事の時には3種類の日本酒を飲み比べ。

 

私のイチオシ 真鯛の兜煮

真鯛の兜煮は、甘じょっぱいプルプルのコラーゲンで白ごはんがすすみます。

 

天ぷらはお塩でいただく

さらに、揚げたての天ぷらと握り寿司でお腹は限界。

 

真っ赤に焼いた石をドボンと樽の中へ

それでも石焼き鍋の実演にはワクワク。

 

中に入れられた岩のりがまたいい味を出していた

鯛とカニの出汁が効いた味噌汁を、しっかり完食。

 

洋梨の赤ワインゼリー さっぱりとして食べられた

「もう無理」と言いながら、デザートは別腹です。

時間をかけて味わう食事は、こんなにも満ち足りるものなのですね。

静けさというご褒美

この日の宿泊客は20人ほど。
冬季営業でセーブしているのでしょう。
客層はシニア夫婦や女性同士が中心。
子どもの声がなく、館内は本当に静か。

 

暖炉のパチパチという音ってどうしてこんなに癒させるんだろう

夕食までの2時間は、暖炉の音を聞きながらラウンジで読書。

 

ウェルカムドリンクはデトックスウォーターにコーヒー、紅茶など

無料のデトックスウォーターやカフェラテをおかわりしながら、 誰にも急かされない時間をただ味わう。

夕食後の温泉は貸し切り状態。
露天風呂でライトアップされた赤いつばきを眺めながら、思わず声が出ました。

「最高かよ」

誰もいないので、もう一度。

「最高かよ」

こちらのラウンジでは、卓球やオセロなども楽しめます

寂れていない温泉宿もある

別邸つばきは、本当に居心地のよい宿でした。

真面目に温泉を守り、丁寧に料理を作り、笑顔で迎えてくれるスタッフの方々。
だからこそ、温泉街全体の寂れ具合が少し切なく感じます。

でも、良い宿には、それだけを目的に訪れる人がきっといる。
私もまた来たいと思いました。
そして、応援したいと思いました。
友人たちにもおすすめしようと思いました。

静かで、やさしくて、少し大人向けの温泉宿。
どうかこれからも続いてほしい。
暖炉の赤い炎のように、パチパチと弾ける活気を絶やさずに。

思い込みだけで、遠ざけていたのは、私のほうだったのかもしれません。

朝食も「最高かよ」

 

 

 

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