「いったい何時になったら行くのっ!?」
夕方5時近くになって、母がそう言いに来た時の私は、おそらく狐につままれたような表情だったに違いありません。
認知症の母は記憶障害が著しいので、5分前の話も覚えていないことが多いのですが、それはさて置き、ついに話を作り上げるようになったのかと、唖然としてしまいました。
「何時に行くの?」と言われても…
久々に何も用事のない休日。
午前中は、家庭菜園の野菜の収穫をしたり、花壇のお花の手入れをしたり、目についた草取りをしたりと、秋晴れの中、心地よい汗をかきました。
お昼は、収穫した大量の大葉を使ってパスタを作り、母のところへ持って行きました。
「何か(用事は)ある?」と、母に声をかけると
「なんにもないよー」と、母。
午後は納戸の片づけをし、4時過ぎになってからやれやれ…と、撮りためていた韓国ドラマを観ていた時のこと。
いったい何時になったら行くのっ!?
と、母が困った様子で現れました。
へっ!?
アタマの中が真っ白になるとは、まさにこのこと。
だって母に言われた言葉がまるで理解できず、返答しようにも言葉が出てこないものだから「へっ?」というマヌケな返事しかできなかったんだもの。
皮膚科に行く日だったらしい
どうやら母は、皮膚科に行くつもりで私を待っていたようで、母はよそ行き用の服を着ていました。
実は1週間ほど前から、母は顔のこめかみ部分にできたデキモノを気にしていました。
私が見る限り、それは老人性のイボ。
母の顔にそのようなイボができるのはこれで3回目です。
1度めは4~5年前、2度めは3か月前。
いずれも皮膚科で液体窒素による凍結処置により、イボを取ってもらっています。
今回できたイボは、前回と比べるととても小さく、色も肌色に近いので目立ちません。
少し様子を見ようと母には話していました。
しかし、毎日イボに触れて気になる母は、毎日私へ初めて訴えるように話します。
そのたびに繰り返し母へは説明し、母も(その時は)納得するのですが、毎日毎日母の訴えは続きました。
そしてついに母は私が休日だったその日に、以前皮膚科に毎週通っていた時のことを思い出したのか?「今日は皮膚科に行く日」だと思ったらしいのですよね。
母を反面教師にしようと思うけれど
自分の顔にできたイボなので、たとえどんなに小さくても目立たなくても、そりゃ気になるよね。
しかも、様子をみようと言ったところで、認知症の母はそれを記憶にとどめておくことはできません。
今自分に起きている悩みの種を、毎日私に訴えてくるのは、もうどうしようもないこと。
その悩みを取り除いてあげない限り、母の訴えは毎日続くのですから、近々母を皮膚科に連れていかなければと思っています。
繰り返す母の言動は、認知症ゆえに、イラっとしても受け止めようとは思っています。
しかしですよ。
夕方近くになって突然やってきて「いったい何時になったら行くのか」と言われ、「皮膚科に行くなんて言ってないよ」と答えたところで、「そんなはずはない!」と言い張る母。
百歩譲って「今日はもう遅いから無理」だと言うと、「今からでも行けるでしょ」と譲らない母。
夕食の支度もあるので「私だっていろいろやることあるんだから」と母に言うと、なんて返ってきたと思います?
「アンタ、今テレビ見てたじゃない。ナニがそんなに忙しいのよ」
だって!
はぁぁぁぁ・・・。
反論する気も失せ、ナンも言えなかったですよ。
認知症の母に反論したところで、無意味なやり取りだと言うのはわかっています。
だけども、このモヤっと感や、イラっと感は心の奥にたまります。
母を反面教師にしようと誓った秋晴れの日。
だけど、私も認知症になったら相手の気持ちを思い量るなんてことはできなくなっちゃうんでしょうね…。
なんだか空しい。
コメント
今日は、お母様とのやり取りモヤモヤお気持ち察します。私の実母(85歳)もそんな感じです。こうと思ったらやるまで責められ反論や意見すれば、こちらの心を掻き乱すような辛辣な物言いでやり込めてくるので辛いこうはなりたくないと呪文を唱えながら付き合ってます。
akanekoazuさんへ♪
自分の親だからこそ、もっと仲良く、もっと穏やかに付き合いたいと思っているのに、自分の親だからゆえ、辛くなっちゃいますよね。
モヤっと感も、イラッと感も、自分でのみこむしかないので、認知症の母のように、すぐに忘れてしまえば、楽なんでしょうね。
まだまだ、私は器が小さいです。
認知症の方は、夕方になるといわゆる「不穏な気持ち」で心がいっぱいいっぱいになることがありますね。そしていくつになっても女性にとってはお顔のことは気になりますね。それしか考えられない状態だったのでしょう。
その「感情」にまず付き合ってあげる必要があったのです。こちら側の「理屈」「正しさ」で論破するのは攻撃を生み出すだけ。娘が本気で向き合ってくれてるかどうか、その姿勢が欲しいので、「忙しいから!」などと思春期の子供みたいな対応されたら怒りたくもなりましょう。お母さまは無限に繰り返しイボのことを考える檻の中にいるのです。かわいそうに、と思えないならば、まだご自分こそが「子供」のままだから。既に役割は「お母さまの保護者」になっているのに。
ご自分にも生活があり、それが何よりも大事で、休養も欲しい。
それは当然なのですが、ちょっとお母さまの味方をしてみました。最初からじっくり本気で話を聞いてあげたら、ここまでこじれずに済んだかもしれなかったです。
年寄りのイボなんてどうでもいいじゃん、って思ってると見透かされますよ。可能なら早く皮膚科に連れて行く方がいいですよね。そしてもめた時には、ご主人からの声かけも有効に利用してみて下さい。多少の遠慮のある間柄の、男性ならではの効力があるはずです。
やまこさんへ♪
やまこさんのおっしゃる通りです。
私はいまだに母が怖いです。だから、この年になっても、「子ども」です。
母の「保護者」という気持ちには全然なれていないところが、私の未熟さであり、ダメダメなところです。
アドバイスありがとうございます。
もっと大きな心で母に接することができるように、努力しようと思いました。
そらはなさん
お疲れ様です(。-_-。)
ずっとブログを拝読しておりますと
お母様に対してとても複雑な想いをお持ちなのがわかります。
それなのによくやってらっしゃると思いますよ。
観音様のような気持ちで接することができなかったとしても
それは仕方ないと思います。
人間だもの。
ご自分を責めたり
心に無理をさせすぎないでくださいね。
たまに自分のブログで愚痴るくらいしないと(^^)まいっちゃいますよ。
蔭ながら応援してます!
匿名さんへ♪
私がうまく母と接することができないのは、匿名さんがおっしゃるように「複雑な想い」を持っているからなのでしょう。
母のこと、苦手なのですが、感謝もしてるんですよ。
社会で生きていけるように育ててくれたことには本当に感謝しかありません。
ブログで愚痴ることしかできませんが、いただいたコメントうれしかったです。ありがとうございます。