庭が広すぎて困るということは、贅沢な悩みなのかもしれません。
しかし、私にとってはやっかいでめんどうな土地でもありました。
父が毎日せっせと手入れをしていた庭も、父が急逝したことで、私は父の想いと庭の管理の板挟みになっていました。
もうすぐ父の三回忌。
私はようやく、父が遺した庭の管理から解放されたような気がします。
父が遺した庭
父は老後のライフワークのひとつとして、庭仕事を楽しんでやっていました。
何十年もかかって庭に木を植え、それらを育て、剪定も伐採もすべて自分で行っていた父。
十数年前に実家の敷地に私たち家族が住む住居部分を建て、二世帯住居として暮らしてきましたが、私は庭のことはまったくノータッチできました。
仕事や子どものことで忙しかったというのもありますが、その頃の私は庭木や花や野菜などを育てるなんてことにまったく興味もなかったからです。
私は自分の家の庭が嫌いでした。
大木が何本もあり、ジャングルのような庭。
木の周辺には、何十年もの間たい積された落ち葉や枝が敷き詰められていて、ジメジメとしたその下には得体の知れない虫たち。
木の下に行くと必ず蜘蛛の巣に引っかかる。
夏は1分庭に出ただけで、蚊に刺されまくる。
そんな庭でしたが、それが父の思い描く自然体の庭だったのでしょう。
だって父は毎日、楽しそうに草を刈り、枝を切り、「健康のためだ」と言っては自分でなんでもやっていましたから。
前日も、草刈り機を使って庭仕事をしていた父が、次の日の朝に亡くなってしまったことで、私はこの2年間、庭の維持管理に大いに悩むようになりました。
誰のための庭なのか
梅の実を採って梅ジュースを作ったり、柿の実の渋抜きをしてみたり。
父が亡くなった後も、私は父がやっていたように庭を維持管理しようと必死でした。
梅ジュースの作り方、柿の渋抜きの方法など、自分でやってみたことは自分の経験値として身につき、これはこれで良かったと思っていますが、枝の剪定や害虫駆除は、実の収穫の喜びを打ち消す材料となるのに時間はかかりませんでした。
梅の実も柿の実も、買えば一袋数百円。
それなのに私は1年中、枝を剪定し、毛虫に慄き、大量の落ち葉にため息をついている。
これってどうなの?
もっと維持管理しやすいよう、大木は伐採し、雑草が生えないように庭を造り変えたい。
何度も母に提案してきましたが、母に賛同してもらうことは至難の業でした。
父の想いがたくさん詰まった庭だけど、父はもういない。
今を生きている私が、管理しやすいように変えていって何が悪い?
私が死んだら、子どもたちが好きなようにすればいいだけ。
亡くなった人よりも、生きている人が大事なんです。
父の思い出は、私の頭の中にちゃんと記憶しているから、それでいいのです。
庭を管理しやすくするためにやったこと
業者に依頼し、大々的に庭を造りなおすというのは、母も混乱するので無理でした。
なので、なるべく自分でできる範囲であちこち手を加えてきたこの2年でした。
1.平板ブロックを敷く
庭の南側の一部は土がむき出しで、いつも草取りに追われていました。
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2年前の様子
ここに平板ブロックを敷きました。
<after>
さらに、庭の西側の部分にも平板ブロックを敷きました。
<before>
<after>

2.防草シート&砂利を敷く
庭の南側に平板ブロックを敷き、その隣は防草シート&砂利を敷きました。
<before>

<after>

軒下の雨落としの部分は、砂利を敷いただけだったので、いつも砂利の隙間から雑草が生えてきていました。
ここの砂利を全部取り出し、防草シートを敷いてから再度砂利を敷き詰めました。
<before>
<after>

3.木の伐採と剪定
2年間の間に、3回に分けて大きな木の伐採をしました。
1度にやってしまいたかったのですが、母を説得しながらでしたので時間がかかりました。

木の伐採にかかった費用は
1回目:シルバー人材 28,000円
・栗の木(大)1本
・柿の木(中)2本
・梅の木(中)1本
2回目:シルバー人材 13,000円
・梅の木(中)1本
・柿の木(中)1本
・松の木(中~小)5本
剪定は、造園業者さんへお願いしました。
カイヅカイブキがあまりにも肥大化し、シルバー人材さんではできなかったからです。
・カイヅカイブキ10数本 54,000円
・庭のほとんどの木の剪定 54,000円
さらに、庭に昔からあった大穴の中にある枝の撤去と、穴を埋めてもらいました。
・工賃+山砂代など 38,880円
以上、シルバー人材センターと造園業者に払った費用は合計187,880円となりました。
なお、自分で施工した平板ブロックや砂利敷などの費用は、格安でわけていただいたものなので、計算していません。
まぁ、私の労働力が膨大にかかっていることは事実ですが・・・。
庭造りが楽しくなった理由
2年の間に自分で平板ブロックを敷いたり、防草シートを敷いて砂利を敷いたりと、なんとかやってきましたが、さすがに大きな木の伐採は無理でした(当たり前)。
また、父が自己流で剪定してきた木々は、なんともイビツで枝葉も混み合っていて、中の枝葉が枯れてきていたので、一度造園業者さんへ手をいれてもらうことにしました。
おかげであらゆる庭木がスッキリと整い、今年は木の剪定作業に頭を悩まされることがなくなりました。
庭木がスッキリすると、ようやく私も家庭菜園に挑戦してみようかな、という気持が沸き起こってきました。

キュウリとトマトとズッキーニ。
さらにナスとピーマンとオクラも植えました。
キュウリにはツタを這わせるためのネットを張り、ズッキーニは風で苗が折れてしまわないよう簡易ビニールハウスで覆っています。
ナスは、マルチ(黒いビニール)を張って育ててみることにしました。
ピーマンは風で苗が折れないよう割り箸で添え木をしています。
私にとっては初めての家庭菜園ですが、やるからにはあの手この手で育ててみたい。
休みの日には、朝から日が暮れるまで庭で何かしらやっていますが、まるでアトラクションで庭を造っているかのような感覚です。
木を伐採して、たい積していた落ち葉をすべて片付けて、日当たり良好のきれいな庭になったら、庭仕事が本当に楽しくなりました。
同時に、父が遺した庭だから、同じように維持管理していかなくては、という使命感はすでになくなっていることにも気が付きました。
親の遺品整理に悩む方も大勢いると聞きますが、生きている自分はどうしたいのか?と問いかけることが、最初の一歩なんです。
そして、今を生きる自分が、暮らしていきやすいようにすることが第一なんです。
ここまでくるのに2年かかりました。
間もなく父の三回忌を迎えます。
父に、今の庭をみせたらきっとこう言うと思います。
「きれいな庭にしてくれて、ありがとう」と。

父が遺した水仙が、今年も一斉に花開きました。