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認知症の母に訃報は伝えなかったことを良かったと思っている

今年になって3回、葬儀に参列してきました。
伯母、義母、そして伯父です。

伯母は、母の実姉。
伯父は、その旦那さんであり、母にとっての義兄となります。

亡くなったことを、母に伝えるか否か悩んだこともありましたが、今は伝えなくてよかったのだと思っています。

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訃報は伝えない

3月、伯母が亡くなりました。
伯母というのは、私の母の実姉です。

従兄(伯母の息子)から訃報の知らせの電話を受けたのは母ですが、認知症である母は、その内容が理解できず、しかも電話がきたことも数分後には忘れてしまっていました。

訃報で固定電話の解約について考える
どうやら我が家も、固定電話を解約する時がきたようです。 私も夫も連絡手段は携帯電話なので、自宅の固定電話は使うことがあり...

実姉が亡くなった事実を、これ以上母に伝えたところで、混乱を招くのは目に見えていましたので、このまま母には何も言わないでおくことにしました。

ところが数日後。
地元の新聞に載った死亡広告を、母がめざとく見つけたのです。
(田舎では、新聞に訃報広告を出すことはよくあります)

視力も低下し、理解力も判断力も落ちている認知症の母は、「新聞を読む」ことはもうできません。
それでも、昔からの習慣で朝は必ず新聞を開くのですが、形だけになっているというのは、傍から見てもよくわかります。

しかし、死亡広告に載った喪主の名前(伯父)に、自分と関係のある「誰か」だとは感じたようで、「ココ、見て。アンタ知ってた?」と母が新聞を持ってきました。

私は、何食わぬ顔で
「お葬式に行ってきたよ」とだけ伝えました。

すると母は「香典、やってくれた?」と聞くので、ちゃんと渡してきたことを伝えると、安心したようでその後は何も聞いてきませんでした。

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「姉夫婦はいまだに健在です」

母が、家に訪ねてきた人に口癖のように必ず言う言葉。
「私の姉夫婦は、いまだに健在です。」は、伯母が亡くなった後もいまだに続いています。
やはり母は、実姉の死は理解していないようです。

誰彼かまわず「長生きの家系だ」と、母は誇らしげに話すので、うん、うんと、相槌を打っています。

その後、伯母の後を追うように伯父が亡くなりましたが、やはり母には伝えませんでした。
「姉夫婦が元気でいるから、私もまだまだ元気でいなければ」
そんな気力を母が持つことができるのなら、ウソも方便?・・・いやいや、ウソも思いやりになるのかな・・・と思っています。

長生きするということ

立て続けに身内が3人亡くなり、いろいろと思うところはありました。

長生きすればするほど、自分と関わりのあった人たちが亡くなっていく寂しさは、計り知れないでしょう。
しかし、それも認知症となってしまえば記憶に残りませんから、ある意味シアワセなことなのかなぁ・・・と思ったり。

逆に、高齢であるがゆえ、実姉の葬儀にも参列できず、その事実さえも知らされず、果たしてこれって幸せと言えるだろうか・・・とか。

嫌な気持ちを刻まれるよりも、楽しかった記憶だけを胸に年老いていくほうが、きっと幸せなことなのかもしれない・・・とか。

94歳で亡くなった伯父は、最期まで認知機能はしっかりしておりました。
なので伯母が亡くなる直前、病室の枕元で
「愛してるぞー!オレもすぐにそっちに行くからなー!」
と、叫んだことは、今や武勇伝のように語り継がれております。

いずれにせよ、母が今日も平穏に暮らしていることが、私にとっての何よりの幸せです。

【認知症】ある日突然始まる対人妄想
ある日突然・・・という言い方は、ちょっと間違っているかもしれません。 認知症の母の記憶力は、少しずつ徐々に失われていって...

母の言動がおかしかったあの日だけで、今も認知症ではありますが、母はふだんと変わりなく過ごしております。

 

コメント

  1. 匿名 より:

    伯父様の武勇伝に泣けました。
    そしてその通りになさったのですね。
    確か、以前に、
    伯母様ができなくなったことを代わりにやってあげてらっしゃることを書いてらっしゃいましたよね、
    伯母の字と違う、と気づいたお話。

    母御の言動が1度だけおかしくなったのは、
    娘さんに準備をしてもらうためのお知らせだったかもしれないですよ?
    突然過ぎて困らせないように、と。

    • そらはな より:

      匿名さんへ
      伯父は、10年以上前に心臓の手術をしていて、「生きているのが奇跡」と主治医にも言われていたのですが、そんな体で最期まで最愛の叔母の介護をしていました。
      「愛してるぞー!」なんて、そうそう人前で言えないですよね。
      私だったら、「ありがとう」とは言えても、「愛してる」なんて言えないなぁ・・・。
      でも、そんな伯父のことを素敵だなぁと思っています。
      母は、今日も変わりなく過ごしています。
      これが日常の幸せなのだと思っています。

  2. でぶねこ より:

    お久しぶりです! でぶねこです^^

    お母さまの「私の姉夫婦はいまだに健在です」はクスッとしてしまいました。
    いい時のことを覚えていることのほうが、本人にとっては幸せなことなんだろうなあと、私も思います♪
    人間、長生きすると悪いことのほうが記憶に残ったりして、それはそれでつらいですよね^^;
    伯父様の武勇伝も、素敵だなと思います。
    悪いほうばかりに考えるのではなくて、加点法で考えることが大切だと、最近特に思うようになりました。

    私の義母は、先月末の定期受診の際、心筋梗塞の疑いがあると言われてその場で救急車に乗って大きい病院で手術、入院。
    その後、施設にお世話になることにしました。昨日も受診して、心不全になりそうだという結果に驚きながら帰宅。
    義母にとってはじめての施設(グループホーム)ですが、まったく家にいるのと同じように過ごしており、もっと早くお願いすればよかったかもと思ってしまいました^^;

    そらはなさんのお母様、その後お変わりないご様子でよかったです。
    体調の崩しやすい季節になりましたので、どうぞご自愛くださいませ。

    • そらはな より:

      でぶねこさんへ♪
      加点法!いいですね(#^^#)
      そうですよねー、できないことを嘆くより、できたことを喜ぶほうが、気持ち的にもとっても楽になります。
      お義母さん、入院、手術、そしてグループホームと、環境や状況が大きく変わっても、変わりなく過ごしているとのこと。
      案外、こちらが心配するよりも、あっさりと適応していくのかもしれませんね。
      いつも温かいコメント、ありがとうございます!(^^)!