母の認知症の症状が顕著になったのは、今から6年前のこと。
父が亡くなった直後から、母の言動がおかしくなったのですが、実はそれ以前からおかしいな?と思うことは断続的にありました。
今になって思えば、それは認知症の前兆だったんだなぁと考えることができます。
母が認知症だと決定づけた出来事
6年前、前日まで庭仕事をしていた父が急逝しました。
それはあまりにも突然の出来事だったので、母がパニックになるのも致し方ないと理解できました。
何度も同じことを聞き、何度も同じ話をし、数分前のことを忘れてしまう母をみても、いずれ落ち着いてくると思っていました。
しかし現実は、そうはいきませんでした。
父の葬儀が終わり、その後は次々にやらなければならない手続き関係に追われる日々の中でも、母の混乱ぶりはひどくなる一方でした。
本当は母と相談しながら、母がこれから暮らしやすいようにできる方法を一緒に考えていきたいと思っていたのですが、母はすぐに怒りだし話し合いなどできる状態ではありません。
そんな時、母は私のことを「相続争いをする泥棒と一緒だ」と言い放ちました。
父名義の口座のお金をどこへ移そうかと相談している時のことでした。
父が亡くなってからひたすら一生懸命に走り続けてきた私の中で、ブチっと何かが切れる音がした瞬間です。
当時は、奈落の底に突き落とされたような感覚を覚えましたが、これが「母は認知症なのだ」と気づくきっかけとなりました。
母が認知症になる前のエピソード
今だから思うことですが、それ以前にも母の言動でおかしいな?と思うことは、時々ありました。
1.聞いてないよ!
父が亡くなった時、母は84歳でしたから、それより2~3年前の80歳を過ぎた頃のことです。
当時、お正月には姉一家が我が家に来るのが恒例行事となっていました。
姉は母へ電話で実家へ来ることを伝えていましたし、私の口からも母へ話していました。
しかし当日。
姉一家の姿を見るなり、母は血相を変えて私のところへ来て「(姉がくることを)聞いていない!知らない!なんで言わないのか!」と怒鳴り込んできました。
この時、母のことは、歳による物忘れなのだと、自分の中でそう処理してしまいました。
2.料理がまずくなる
さらにそこからさかのぼって、母が70代後半の頃のこと。
父の食欲がなくなり、体重も減ってきたので、病院でいろいろ検査をしたことがありました。
結果は、胃も腸もどこも異常なし。
実は、母の作る料理がおいしくなくなり、父は箸があまり進まなくなったようです。
父の友人によれば、父は外食時、好んで豚の生姜焼き定食を食べていたそうで、「いつも実においしそうに食べていた」と、後になって聞きました。
以前の母はとても料理上手で、母の作るご飯はとてもおいしかったです。
3.いつまで仕事を続けるのか?
そこからさらにさかのぼること3~4年前。
ある日突然母が、私を問い詰めるように怒ってきたことがありました。
「アンタはいったいいつまで仕事を続けるつもりなのか」と。
働く母の背中を幼い頃から見て育った私は、女性も可能な限り仕事を続けるのは当たり前だと思っていましたから、母の言葉に絶句し、泣きながら母に抗議しました。
仕事は好きでやっているし、今後も辞める予定はない、と言うと、母はますます怒って言いました。
「私たちだってもう歳だし、いい加減アンタに家の中に入ってもらって、私たちの面倒を見てほしい」と。
この時、父母は70代半ば。
病気もなければ、口も身体も達者な老人です。
対する私は、3人の子どもたちの教育費を貯めねばと必死になっていた時。
母の言葉がまるで理解できませんでした。
認知症の前兆
認知症は、ある日突然発症するのではなく、長い年月をかけて徐々に進行する病気です。
中でもアルツハイマー型認知症は、アミロイドβタンパクが脳に蓄積し、脳神経に障害を起こして発症すると考えられています。
そして、これは発症の20年くらい前から、アミロイドβは脳の中にたまりはじめるとされています。
ということは、母の場合も60代半ばですでに認知症の準備段階に入っていたということになります。
だから、70代になった母が、私に仕事を辞めろと突然怒りだしたのも、脳の働きが低下して、感情がコントロールがしにくくなってきたからだと理解できます。
また、認知症になると物事を計画立てて順番にこなすことができなくなると言いますから、料理がまずくなるのもいたし方ありません。
そして、聞いたことを忘れてしまうのは、単なる物忘れのこともありますが、思い出せるきっかけを与えても何一つ思い出せないのは、やはり認知症だと推察したほうが良いのでしょう。
母の場合は70代になってからまもなく、認知症の前兆が現れていたんですね。
後々の結果論になってしまいますが。
そして私も。
人の名前が出てこなかったり、ど忘れすることも多々ある今日この頃。
実はこれも認知症の前兆かもしれないと思い、粛々と、謙虚に、そして素直に穏やかに日々暮らしていくことを願うばかりです。
コメント
こんにちは
おかあさまの事、大変ですね。
老いてくれば誰がなってもおかしくない病気ですが、本人も家族も大変です。
私も昔、母の介護を経験したのでよく分かります。
そして、そんな母の血を引いている私もそうなるのでは、と怖れているのです。
私には二人の子供がいますが、「おかあさんがおかしくなったら、何処でも良いから施設に入れたら良いからね」と言っていますが、高齢者が増えた今、入れる施設はあるでしょうかね。
何はともあれ、努力してボケないよう頑張るだけですが
ちひろさんへ♪
母の姿は、将来の自分の姿と思ってしまいます(/_;)
私も、いずれ施設のお世話になりたいと思っていますが、高齢化社会ゆえ、今後は入れる施設があるかどうか、やっぱり心配ですよね~。
とはいえ、先のことを考えて心配したところでどうにもできませんから、今できることをやるのみです。
そらはなさん、こんにちは!
たまにブログを読ませて頂いてる れいもあ です。
とても読みやすく、
老いゆく両親の事を どーしよう と悶々と考え、
月日が過ぎてゆくだけで 焦る私のバイブル的存在です、そらはなさんのブログは。
介護サービスを拒む、肝臓癌・肺癌 ステージ4の父の世話をする、
74歳の母。
そらはなさんが書かれていた、「介護保険が使わないともったいない」は
効果ありそう!
次回、実家に帰ったときに 言ってみようと思います。
素晴らしいアイデア!
ありがとうございます!
れいもあさんへ♪
こんにちは(#^^#)
お父様も大変でしょうが、お世話をするお母様も精神的にも肉体的にも大変なことでしょう。
私たちの親世代は、他人のお世話になることは恥ずかしいことと捉えがちですよね。
でも、そうではないことが、れいもあさんのご両親にもわかっていただけますように。
「もったいない」は親世代にとっては効果あると思います!(^^)!